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2005年7月31日 (日)

7月30日 土曜日

7月30日 土曜日

  午前中は事務所。

  午後は、台北国際放送のリスナーのつどいで大阪へいく。

  20名ほど参加。余興もあってにぎやかであった。

  石塚真一「岳」1巻 小学館

仲正昌樹「日本とドイツ二つの戦後思想」光文社新書

小浜逸郎「人生のちょっとした難問」洋泉社新書

小谷野敦「帰ってきたもてない男--女性嫌悪を超えて」ちくま新書

柘植久慶「戦争で読む「ローマ帝国史」PHP文庫

菊池直恵「鉄子の旅」4巻 小学館を購入

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2005年7月30日 (土)

7月29日 金曜日

7月29日 金曜日 広島の八丁堀シャンテで中国地方弁護士連合会の研修会に出席。

  週刊文春8月4日号と週刊プロレス8月10日号を行き帰りの新幹線のなかで読む。

  晩は「備長」で焼鳥とビール。せせりがうまい。

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2005年7月28日 (木)

週刊朝日2005年4月15日号でドラえもんの声優交代

 週刊朝日2005年4月15日号の特集のひとつにドラえもんの声優交代があります。いまはおちついてしまいましたが、当時は大ニュースだったわけですね。

週刊朝日

2005年4月15日発行

第110巻 第17号 

通巻4681号 

編集長・発行人:青木康晋

発行所:朝日新聞社

雑 誌:20083-4/15

目 次

[2005 大学入試]全国1000高校の主要大学合格者数

西武株売却と同様、説明せぬまま

 コクドが日産に売った箱根仙石原プリンスホテルの「謎」

西武を潰した男 大物総会屋芳賀龍臥の「素顔」

『頭がいい人、悪い人の話し方』樋口裕一氏が部長世代にアドバイス

 LED型新入社員にはこう話せ

「日本外交は敗北した」外務省を去る北朝鮮班長原田武夫氏が激白

「総務省は「白馬の騎士」に横やり。「休戦協定」の裏で三者三様の思惑

 ホリエモンがひそかに狙う「空白の一日」

もうひとつのBSE問題を考える

 安全対策の死角 “ピッシング”やめる? やめない?

元TBS有村かおりさんは作家デビュー、NHK黒田あゆみさんは再婚…

 東大卒女子アナ それぞれの春

「ドラえもん」声優総交代の驚き 最初のひと月が勝負だ

年利回り10%の「新種」も

 不動産投信[リート]これだけのリスク

【News Browsing】

スマトラ沖大地震 日本の緊急支援金246億円 使われた額は、たったの700万円

愛知万博周辺が騒がしい サボテンラーメンって、どんな味?

ついにサントリーホールに進出 歌手クミコが語るこれから

[梨元 勝@芸能界]森進一・昌子夫妻の危機で思い起こす“中3トリオ”のその後…

[カラー特集]昭和が満開 面白元気な超ベテラン………高田文夫

武富士編集協力費問題の不手際についてご説明します

【グラビア】

岩崎元郎氏が選ぶ 新日本百名山 大尽山[青森県]

モンゴル・ウランバートル マンホール・チルドレン

お蔵出しフォト (新)韓流2枚看板!

変わりダネ構造改革特区の新入生

●ドン小西のイケてるファッションチェック

●縁あって母娘

●とりよせ便

●バブルの肖像

●どっとインフォ!

“にいがた”の魅力、再発見!

 名水あるところに名湯あり

●週末札所めぐり

●男の時間

●わたしの理想の家

●山藤章二の似顔絵塾

●お散歩レストラン

●山藤章二のブラック・アングル

【小 説】

 唯川 恵    今夜は心だけ抱いて

 幸田真音    タックス・シェルター

【インタビュー】

 林 真理子    ゲスト 奥菜 恵

【エッセー】

 田原 総一朗    ギロン堂

 船橋 洋一     世界ブリーフィング

 東海林さだお    あれも食いたいこれも食いたい

 内館 牧子     暖簾にひじ鉄

 高橋 秀樹     父と子の中学受験ゲーム

 嵐山光三郎     コンセント抜いたか!

 

 岩切  徹     男よりテレビ女よりテレビ

 倉田真由美     (ほ)やじ日記

 [江本孟紀]

【コラム】

 つぼさがし

 犬ばか猫ばかペットばか

 山崎 元のマネー&人生ホンネ相談室

【スポーツ】

 栗山 英樹     ベースボール・スタディ

 セルジオ越後    サッカーの神髄

週刊図書館

[書 評]

『イケズの構造』………井上章一

『大人の友情』………佐藤忠男

『ダイング・アニマル』………小谷野 敦

ひと[千原浩史]/

文芸予報[斎藤美奈子]/

ニュースな本[永江 朗]/

新書の穴[呉 智英]/

POPな文庫[朝山 実]/

読書日和[小野正嗣]

パズル DE 能力測定

【カラー連載】

ワタナベ・コウ 街角コレクション

土井善晴 レシピの余白

下野康史 通といえばCAR

週刊 築地座

●会見ウオッチinterview [久米 宏]

●映 画[サラ、いつわりの祈り]江上 剛

●井筒和幸のイケるんちゃう?

●増井 修のロック不健康診断

夫婦の情景

 井上保孝・郁美 夫妻

【医 療】

 名医の最新治療

  斜視

【まんが】「パパはなんだかわからない」山科けいすけ

 今週の囲碁   東 公平

 編集部発/お便りクラブ/編集部発

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7月28日 木曜日

 7月28日 木曜日

 朝はパン。ブルーベリージャムとハムエッグ、サラダ、コーヒー。ハムは貰い物。

 週刊モーニングの発売日であるが、「ピアノの森」が掲載されていないので買わない。

 午前中は、広島で中国地方弁護士連合会の研修会があるが、キャンセルして、緊急のミンボー事件の会合をおこなう。

 法廷2件。

昼は、からあげ定食。研修会でのホテルの弁当はキャンセルがまにあわず。だれかほかのひとが食べたのだろうか。

 ネットマージャンをするが、勝てない。

午後は、法廷1件。接客1件。ミンボー関連の電話数件。

 明日は広島の研修、明後日は大阪で台湾の台北国際放送リスナーの会に出席予定。

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2005年7月26日 (火)

夏場のダイエット

 夏やせか夏太りか 

 土用の丑の日がちかづいてきた。この日に鰻をたべるといいとしたのは平賀源内の発案といわれている。みなもと太郎「風雲児たち」のなかにもこのコピーを源内が考えるエピソードがある。

 夏やせによいということで万葉集にまでうたわれた鰻であり、実際夏はやせることがおおかった。

 夏太りということも1980年代からいわれだしている。冷房とアイスクリーム・清涼飲料水等の普及で、カロリーオーバーになりやすくなったのだろう。吾妻ひでお「ななこSOS」(80年代にアニメ化された名作)をよみかえしていたら、ななこが夏太りになやむ回があり、エアロビクスをやるところがあった。

(このなかで谷山浩子のどうせ売れない新曲のポーズ、とかやっていたが、これ、わかる読者は当時も少なかったのではなかろうか?1983年にはじまった谷山浩子のオールナイトニッポン(ニッポン放送系金曜午前3時~5時)でマンガに関するコーナーがあって、このへんのやりとりはいろいろあった。)

 筆者はとくにダイエットはしていないが、夏風邪のせいか、7月は数キロ痩せてしまった。アイスクリームを中年男性はあまりたべないせいかもしれない。梅雨明けでビールがおいしくなったら、ダイエットが必要になるかもしれない。

  

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中央公論2005年5月号 犯罪被害者特集

 中央公論2005年5月号では犯罪被害者の特集があります。

 刑事弁護を15年やってきていると、ここ数年重罰化していると思うことがありますが、被害者の意見が反映しだしたのかもしれません。

中央公論 5月号

平成十七年五月一日発行

一四五二号 第百二十年 第五号

雑 誌:06101-05

CONTENTS

【特 集】

犯罪被害者の声を聞け

 ―――復讐はなぜ許されないのか

わたしが現代版“仇討ち”を描いた理由………東野圭吾

被害者遺族座談会

司法・警察・マスコミの被害者無視にはもう我慢できない

<座談会> 松村恒夫 猪野京子 小宮信夫

      司会 藤井誠二

現場検証・奈良女児誘拐殺人事件と大阪寝屋川教職員殺傷事件

 通学路と学校に潜む危険に対策はあるか………中村 攻

新設「被害者支援官」は成功するか

 真の支援とはともに「闘う」ことだ………藤井誠二

ここがおかしい「罪と罰」

 被害者の証言や体験に想いを寄せよ………櫻井よしこ

 法廷に「専門バカ」はいらない………佐木隆三

 近代法治国家の原理的弱点………呉 智英

 なぜ報復は許されないのか………山内昌之

 厳罰化を謳う前に負うべきコスト………井上達夫

【特 集】

メディア買収 ―――堀江貴文の迷走する幻想

スリルを求め拡大した

堀江氏の「粗雑なビジョン」………山本一郎

堀江vs.フジの舌戦で露わになった

プロ性と公共性の曖昧さ………音 好宏

「打倒ヤフー」を狙ったネット+メディアの中身………宮嶋 巌

新興IT企業の草刈り場 フジテレビは、なぜ狙われたか………齋藤 進

あらゆる内部危機が

「金王朝」を崩壊に追いつめる………A・ラニコーフ

なぜ、憲法か ―――憲法主義の擁護のために………河野 勝

[NHK前会長独占インタビュー]

 朝日問題、不祥事、受信料不払い……

 この騒ぎの真相を語ろう………海老沢勝二

中台緊張は日米同盟で対応できる………R・アーミテージ

中国の国防近代化とアジアの緊張………茅原郁生

日本は東アジアで役割を失う………R・ソロモン

[時評2005]

 レイとボビー:アメリカン・ドリーム………青木 保

 対人関係という迷路………玄田有史

 追悼 ジョージ・F・ケナン………櫻田 淳

【特 集】反日に走る韓国社会

歯止めの利かない“親日派狩り”の実態………裵 淵弘

旧世代の分裂が現政権の「暴走」を招いた

凋落する韓国保守勢力………池東 旭

竹島問題にクールな二十代の政治意識

ポスト「386世代」の意外な保守回帰現象………小針 進

先端科学技術で中国に肩を並べられた日本

科学審査制度の改善こそ国家の急務だ………高部英明

ルポ・アルツハイマー介護家族の現実

肉親を憎む時、愛おしく思う時………河合香織

シリーズ・「五感」の秘密に迫る(2)

味覚 「混乱する食と“おいしさ”の謎」………山下柚実

シリーズ・手業の記憶(4)

持ち運びできる箪笥を編み続けて

 ―――タカラジェンヌにも愛された柳行李………村上健司

[新連載]

『歌』の精神史 短歌の叙情、演歌の感傷………山折哲雄

 新聞の論点 ―――社説を読み比べる………長山靖生

【グラビア】

異人たちの遺産 ―――近代建築探訪(5)

 文・藤森照信 写真・増田彰久(解説193)

 Stage 文・大笹吉雄

 Film 文・岡田秀則

 Art 文・住友文彦

石にひそむ記憶(5)

 中国・万里の長城

 撮影・文・辻丸純一

 インドの神秘 ミテイラー絵

 撮影・文・井上和博

 ハワイのノースショアへ

 撮影・文・野寺治孝

弘兼憲史のエネルギーを考える(8)

【コラム】

人物交差点

松本健一/中村利雄

残 照………柳原和子

鎌倉傘張り日記………養老孟司

自由時間………池内 紀

ブック・レビュー

千葉 望/東谷 暁/鈴木章生/日高恒太朗

古典再読………廣瀬千紗子

遺書、拝読………長薗安浩

ベストセラー診察室………岡崎武志

今月の集中講義

「子育てと父親」………杉山 春

説 苑

探訪 日本の川 大井川

21世紀世代「この先を見る!」………相楽和紀

最前線ウォッチング

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菊池直恵「鉄子の旅」1巻

 わたしは鉄道オタクといえるほどのものではない。時刻表もダイヤの大改正があったとき購入するくらいである。

「鉄子の旅」は鉄道に興味のない女性マンガ家が究極の鉄道マニア(テツ)に日本全国をつれまわされるマンガである。

 小学館ISBN4-09-188541-1  本体価格562円

 奥付では2005年1月1日発売なので、2004年11月おわりごろには書店にならんでいたのではないか。

  筆者は岡山在住なので岡山関連には興味があるが、第3旅でムーライト山陽とムーンライト高知松山の切り換えのはなしがでてくるかと思ったが、作者は深夜3時すぎということで寝ていたらしい。残念。

2巻では新見駅とかがでてきます。

第1旅 久留里線全駅上下車

第2旅 130円一都六県大回り

第3旅東京鹿児島2泊3日鈍行の旅

第4旅 長野電鉄「木島線」最終日

第5旅土合湯檜曽 鉄子流デートコース

第6旅 大垣夜行で行く有田&紀州鉄道

第7旅 岩手県の自然を味わう旅

第8旅聴視電鉄全駅上下車with 真鍋かをり

   

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2005年7月25日 (月)

民法判例百選の変遷ほか

 筆者は昭和56年の京都大学入学であるが、入学したとしにはほとんど法律の勉強はしなかった。

 昭和57年5月に民法判例百選の第2版がでているが、筆者がもっているもっとも古いのがこれである。ちゃっと勉強しているひとは初版をもっているはずだ。(もっとも、父も弁護士なので事務所の書庫には初版もあるはずである)

 過半数が平成の判例になってしまっており、民法自体もかわってしまっているが、実務的にはふるい議論が参考になることもあり、DVDで旧版も含めて発売されているのはいいことだと思う。

 現在の債権の百選の目次は次のとおりでタイトル自体はあまりむかしとかわらないようである。

別冊 ジュリスト

民法判例百選2

債権[第五版 新法対応補正版] ~2~

平成一七年四月八日発行

(四一巻 二号)

編集人:津田憲司

発行人:江草忠敬

発行所:株式会社 有斐閣

雑  誌:65284-76

ISSN:1342-5048

ISBN:4-641-11475-7 C9432

目 次

【民法判例百選2 債権】

一 債権の目的

 1 種類債権の特定

    ―――制限種類債権の場合………潮見佳男

二 債権の効力

 2 公務員に対する国の安全配慮義務………國井和郎

 3 安全配慮義務と履行補助者………國井和郎

 4 契約準備段階の過失………池田清治

 5 履行補助者の過失………円谷 峻

 6 民法416条の2項の予見時期………難波譲治

 7 契約解除した場合の損害額算定時期………飯島紀昭

 8 履行不能の場合の損害額算定時期………山下りえ子

 9 買主の引取義務………平野裕之

三 責任財産の維持

10 債権者代位権と債務者の無資力………工藤祐巌

11 登記請求権の代位………生熊長幸

12 妨害排除権の代位………田山輝明

13 詐害行為取消権の性質………佐藤岩昭

14 特定物債権と詐害行為取消権………森田 修

15 債権譲渡通知と詐害行為取消権………滝沢昌彦

16 遺産分割協議と詐害行為取消権………片山直也

17 詐害行為取消しと取消債権者の自己に対する不動産移転登記………早川眞一郎

18 詐害行為と原状回復 ―――共同抵当の場合………佐藤岩昭

19 詐害行為と価格賠償額算定の基準時………山川一陽

20 受益者である債権者の取消債権者に対する分配請求権………片山直也

四 債権の第三者に対する効力

21 第三者の債権侵害と不法行為………山本隆司

22 第三者の債権侵害と妨害排除………赤松秀岳

五 多数当事者の債権関係

23 連帯債務の相続………阿部 徹

24 解除による原状回復義務と保証人の責任………寺田正春

25 いわゆる継続的保証………右近健男

26 不真正連帯債務 ―――共同不法行為者の1人が行った債務免除の効力………淡路剛久

六 債権譲渡・債務引受・契約上の地位の譲渡

27 譲渡禁止特約付債権と重過失ある第三者………寺田正春

28 将来発生する債権の譲渡………潮見佳男

29 譲渡禁止特約付債権の譲渡と債務者の事後承諾………野澤正充

30 債権譲渡における異義を留めない承諾の効力………西村峯裕

31 抵当権と異義を留めない承諾の効力………加賀山 茂

32 債権譲渡の対抗要件の構造………池田真朗

33 同順位債権譲受人間における供託金還付請求権の帰属………池田真朗

34 重畳的債務引受………野村豊弘

35 契約上の地位の譲渡………野澤正充

七 債権の消滅

36 建物賃借人の地代弁済と第三者弁済………半田吉信

37 指名債権の二重譲渡と民法478条………本田純一

38 契約者貸付けと478条の類推適用………中舎寛樹

39 キャッシュカードの不正使用と銀行の免責………河上正二

40 一部弁済と代位………伊藤 進

41 求償権についての特約と代位の範囲………近江幸治

42 物上保証人と事前求償権………島谷部 茂

43 差押え・債権譲渡と相殺………平野裕之

八 契約総則

44 事情変更の原則の要件………小粥太郎

九 契約の解除

45 複数契約上の債務不履行と契約解除………

北村
 實

十 契約各論

(1)贈 与

46 贈与と書面………阿部 徹

(2)売 買

47 手付契約の解釈………後藤巻則

48 手付と履行の着手………良永和隆

49 民法561条による解除と買主の使用利益の返還義務………高森八四郎

50 民法564条の期間の起算点………廣瀬久和

51 数量指示売買と履行利益………森田宏樹

52 瑕疵担保責任と錯誤………山本 豊

53 不特定物と瑕疵担保………松本恒雄

54 土地賃借権の瑕疵………半田吉信

55 果実収取権………池田恒男

(3)消費貸借

56 制限超過利息の返還請求………大河純夫

57 制限超過利息を任意に支払った場合と賃金業規制法43条………小野秀誠

(4)賃貸借

58 正当事由と建物賃借人の事情………原田純孝

59 増・改築禁止特約の効力………副田隆重

60 賃借家屋明渡義務と敷金返還債務との同時履行………岡 孝

61 土地賃借権の移転と敷金の承継………池田恒男

62 更新料支払義務の不履行………新田 敏

63 債務不履行による賃貸借契約の解除と承諾がある転貸借の帰趨………鎌田 薫

64 立退料の提供申出の時期………内田勝一

65 内縁の妻の借家権の承継………松倉耕作

(5)請 負

66 請負契約における所有権の帰属………坂本武憲

(6)委 任

67 受任者の利益のためにも締結された委任と解除………平田健治

68 死後の事務処理の委託と委任契約の終了………後藤巻則

(7)組 合

69 組合財産の帰属………上谷 均

十一 不当利得

70 不当利得の成否

    ―――いわゆる転用物訴権………加藤雅信

71 不当利得の成否

    ―――第三者に交付された貸付金の返還………平田健治

72 不当利得の範囲………土田哲也

73 不法原因の比較

    ―――不法の動機に基づく消費貸借契約への民法90条の適用、

       賃金返還請求の根拠としての708条但書の適用………月岡利男

74 所有物返還請求権と民法708条………田山輝明

一二 不法行為

75 過失の意義と因子 ―――大阪アルカリ事件………吉田邦彦

76 医療機関に要求される医療水準の判断………手嶋 豊

77 事故と自殺との因果関係………樫見由美子

78 因果関係の立証………新美育文

79 未成年者と監督義務者の責任………前田達明

80 「事業の執行について」の意義………浦川道太郎

81 取引先の外観信頼………神田隆夫

82 民法715条3項にもとづく求償権の制限………田上富信

83 共同不法行為の要件………徳本伸一

84 複数の者が使用者責任を負う場合と求償権の範囲………浦川道太郎

85 意見ないし論評の表明と名誉毀損………神田孝夫

86 民法416条と不法行為………前田陽一

87 損害の意義………藤岡康宏

88 事故の被害者が後に別の事故で死亡した場合の損害額の算定………水野 謙

89 不法に残留して就労した外国人の逸失利益の算定………水野 謙

90 過失相殺の要件………橋本佳幸

91 被害者側の過失………稲田龍樹

92 過失相殺と身体的特徴の斟酌………窪田充見

93 企業損害………徳本伸一

94 破綻している夫婦の一方と関係した第三者に対する他方配偶者の損害賠償請求………水野紀子

95 生命侵害による損害賠償請求権の相続性………高橋 眞

96 慰謝料請求権の相続性………田井義信

97 後遺症と示談………朝見行弘

98 民法724条の消滅時効の起算点………執行秀幸

99 民法724条後段の除斥期間の効果を制限する特段の事情………大塚 直

100 請求権競合………船越隆司

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2005年7月22日 (金)

ネット麻雀の楽しみ

 ネット麻雀の楽しみ

 とつげき東北「科学する麻雀」を4月くらいによみ、ネット麻雀をするようになった。

 marujanでは、たまたまついていたときに東風戦24戦中20連対(1位または2位になること)をおこない、連対王の称号を数日だけいただいた。これは偶然の好成績にすぎず、現在はみる影もない勝率となっている。

 カケていないこと、たばこのケムリがないこと、対人接触がさけられ、ラフな服装でも可能なことなどネット麻雀のメリットはある。

 ただ、多面まちのまち読みをコンピュータがやってくれたり、フリテンの警戒をコンピュータにやらせたり、で実際の麻雀とはかなりちがってくるようである。

 「哲也」というマンガキャラクターになって戦うのもおもしろいが、これは昭和20年代でジャンゴロが金と名誉をとりあうという設定なので、でてくるパフォーマンスのなかにちょっと下品なものもあり、教育上よくないのかもしれない。もともと麻雀自体教育上よくないのかもしれないが。

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2005年7月20日 (水)

「雪の女王」と「いつもポケットにショパン」

 NHKの19時代のアニメは「ポワロとマープル」にかわって「雪の女王」になった。

 旧ソ連で名作アニメのあるもののリメイクだけに、スタッフの意気込みもさぞ高いものと思われる。

 筆者の世代だとくらもちふさこ「いつもポケットにショパン」が想い出される。これのモチーフが雪の女王なのだ。冷たくなった幼なじみの男の子をとりもどすストーリーになっている。

 1980年ごろ完結したが、1981年に入学したときに筆者の下宿のとなりにいた大男(現在京都大学理学部教授)が小銭をちゃらちゃとさせていたら「ショパンの音がする」といっていた。むくつけき山男だったが、ちゃんと少女マンガをよんでいたのである。

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2005年7月19日 (火)

平成17年度司法試験論文式試験刑法第1問

【刑法】

第1問

甲は、自己の取引先であるA会社の倉庫には何も保管されていないことを知っていたにもかかわらず、乙の度胸を試そうと思い、 何も知らない乙に対し、「夜中に、A会社の倉庫に入って、中を探して金目の物を盗み出してこい。」と唆した。 乙は、甲に唆されたとおり、深夜、その倉庫の中に侵入し、倉庫内を探したところ、A会社がたまたま当夜に限って保管していた同社所有の絵画を見付けたので、これを手に持って倉庫を出たところで警備員Bに発見された。 Bが「泥棒」と叫びながら乙の身体をつかんできたので、乙は、逃げるため、Bに対し、 その腹部を強く蹴り上げる暴行を加えた。ちょうど、そのとき、その場を通りかかった乙の友人丙は、その事情をすべて認識し、乙の逃走を助けようと思って、乙と意思を通じた上で、丙自身が、Bに対し、その腹部を強く殴り付け蹴り上げる暴行を加えた。乙は、 その間にその絵画を持って逃走した。Bは間もなく臓器破裂に基づく出血性ショックにより死亡したが、その臓器破裂が乙と丙のいずれの暴行によって生じたかは不明であった。 甲、乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし、特別法違反の点は除く。)。

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平成17年度司法試験論文式試験 刑法第2問

【刑法】

第2問

第2問

A県B市内の印刷業者である甲は、知人でB市総務部長として同市の広報誌の
印刷発注の職務に従事している乙に現金を渡して同市が発注する広報誌の印刷を受注したいと考えていた。
そうした折、甲は、同県内の土木建設業者である知人の丙から同県発注の道路工事をなるべく多く受注するための方法
について相談を受けたので、この機会に丙の金を自己のために乙に渡すことを思い付き、
乙に対し、「近いうちに使いの者に80万円を届けさせます。よろしくお願いします。」と伝えたところ、
乙は、甲が80万円を届けさせることの趣旨を理解した上、これを了承した。
一方、甲は、丙に対し、「県の幹部職員である乙に金を渡せば、道路工事の発注に際して
便宜を図ってくれるはずだ。乙に80万円を届けなさい。」と言ったところ、これを信じた丙は、
使者を介して乙に現金80万円を届けた。乙は、これが甲から話のあった金だと思い、その金を受領した。
後日、丙は、甲が丙のためではなく甲自身のために乙に80万円を届けさせたことを知るに至り、
甲に対して80万円の弁償を求めた。
しかし、甲は、丙に対し、「そんなことを言うなら、おまえが80万円を渡してA県の道路工事を受注しようとしたことを公表するぞ。
そうすれば、県の工事を受注できなくなるぞ。」と申し向け、丙をしてその請求を断念させた。

甲、乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし、特別法違反の点は除く。)。

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2005年7月18日 (月)

「インターネット上の誹謗中傷と責任」

 筆者はネットワーク法学会所属である。

 弁護士としてもインターネット上の名誉毀損等についてはよく相談を受ける。

 弁護士としても参考になる。

目次は以下のとおり。

インターネット上の誹謗中傷と責任

2005年3月25日発行

編 者:情報ネットワーク法学会

    社団法人テレコムサービス協会

発行者:松澤三男

発行所:株式会社 商事法務

ISBN:4-7857-1224-4 C3032

目 次

第1章 プロバイダ責任制限法・関係ガイドラインの解説

 第1節 プロバイダ責任制限法の概要

  1 はじめに

  2 本法立案の背景・経緯

  3 本法の趣旨(第1条)

  4 定義(第2条)

  5 損害賠償責任の制限(第3条)

  6 発信者情報の開示請求等(第4条)

  7 結 び

(参考条文)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び

      発信者情報の開示に関する法律

     (平成13年11月30日法律第137号)

 第2節 プロバイダ責任制限法関係ガイドラインの概要

  1 ガイドライン策定の経緯

  2 ガイドラインの内容

  3 著作権関係ガイドラインの概要

  4 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン

 第3節 ガイドラインの運用状況

  1 プロバイダ等における権利侵害への対応状況

  2 事業者相談センターにおける対応状況

  3 著作権関係団体における対応状況

  4 著作権関係ガイドライン等の一部改正について

  5 今後の課題など

第2章 インターネット上の誹謗中傷と判例

 第1節 プロバイダ責任制限法の現在

  1 はじめに

  2 プロバイダの責任制限

  3 発信者情報開示制度

 第2節 判例紹介

  1 TBCvソネット発信者情報開示事件

  2 錦糸眼科事件

  3 羽田タートルサービス事件

  4 TBCパワードコム事件

  

  5 2ちゃんねるDHC事件

第3章 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題

 第1節 プロバイダの刑事責任

  1 はじめに

  2 作為犯か不作為犯か

  3 正犯・共犯の区別

  4 保障人的地位

 第2節 プロバイダの刑事責任 ―――判例の考察

  1 はじめに

  2 民事責任 ―――プロバイダ責任制限法

  3 刑事責任 ―――不真正不作為犯の作為義務の根拠と内容

  4 裁判例

  5 私 見

 第3節 プロバイダの刑事責任について ―――プロバイダの立場からの一考察

  1 はじめに

  2 利用者によるサービス悪用に対するプロバイダの対応

  3 利用者によるサービス悪用への対応の際のプロバイダの悩み

  4 プロバイダの刑事責任についてどのように考えるべきか

  5 おわりに

 ■座談会 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題

  はじめに

  1 プロバイダ一般の運用状況等

  2 プロバイダ責任に関する基本的視点

  3 不真正不作為犯・作為犯

  4 犯罪の成立時期

  5 プロバイダの自助努力の必要性

  6 違法性の意識

  7 プロバイダ「刑事」責任制限法

  8 中立的行為による幇助

  9 中立的プロバイダの刑事責任の可能性

 10 その他の論点

第4章 プロバイダの法的責任に関するその他の問題

 第1節 米国におけるプロバイダ責任制限法

  1 はじめに

  2 損害賠償責任の制限

  3 発信者情報の開示請求

  4 最後に

 第2節 著作権に関する判例紹介

  1 ファイルローグ事件中間判決

  2 小学館事件

第5章 誹謗中傷への実務対応

 第1節 被害企業の危機管理マニュアル

  1 はじめに

  2 基本的な対応方針

  3 情報の削除

  4 発信者の特定

  5 最後に

 第2節 プロバイダの体制整備

  1 体制作りとガイドラインの理解

  2 送信停止措置申立関連の対応

  3 発信者情報開示申立に関する対応

 第3節 トラブルの回避 ―――発信者の留意点を中心に

  1 インターネットの特徴

  2 インターネットのリスク

  3 インターネット上のトラブル例

  4 インターネット上のトラブル回避のために

 ■発信者の自己防衛 ―――べからず集―――

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「風雲児たち」と「ふぉん・しいぼるとの娘」

 みなもと太郎「風雲児たち」の連載で江川太郎左衛門英竜の死去についてはすこし前にこのブログでもふれた。

 この江川の顔は現在に残る肖像画をある程度意識してつくられたキャラクターであった。

 このほかのキャラクターでは肖像画を意識したものとみなもと太郎のもともとからのキャラクターの顔をつかったものとが混在している。

 男性陣だと吉田松陰・坂本竜馬などがみなもとキャラである。

 女性陣はほとんどみなもとキャラと思われる。

 初期の静ちゃん(保科正之の母)とおイネの顔は共通している(と思われる。ちがっていたらごめんなさい)

 現在の「風雲児たち」のヒロインはオランダおイネであろう。

 おイネはのちに医大の設立等に努力するし、大村益次郎の最期をみとったりするわけである。

 筆者は岡山市在住であるが、勝山には仲人がすんでいる。おイネの産婦人科学の師匠である石井宗謙はシーボルトの弟子でおイネの師匠ということで地元では尊敬されていた。

 しかるに風雲児たちではおイネをてごめにする場面が描かれている。

 これは史実としては吉村昭の発見らしく、「ふぉん・しいぼるとの娘」でくわしく描かれている。20世紀後半の発見といえる。

 おイネの母娘関係の不自然さについては歴史上ずっと謎だったわけであるが、この指摘によってある程度謎解きがなされたわけである。

 石井側からすれば名誉を毀損するものであるが、死者の名誉毀損の場合、名誉毀損が成立する要件は明らかな虚偽について悪意をもってなすことが必要であり、歴史上の十分な資料にあたっての結論であれば、それが成立することは困難であろう。

(このほか、名誉毀損訴訟については遺族全員が提起する必要があるのか否かというような細かな論点も生じてくる。)

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2005年7月15日 (金)

司法試験と科挙(解答編)

 司法試験と科挙(解答編)

                         弁護士 岡本 哲

 司法試験は、筆者が合格したころは1年1度の試験で、62倍の合格率で500名前後が合格していた。そのころの日本の人口は1億2000万人弱だったと思われる。

  試験科目は、第一次選抜が教養試験で、これは大学2年の単位がそろっていれば免除された。第二次試験は3次にわかれている。最初が択一式で5月の母の日におこなわれ、たしか3万人くらいの受験者を4000人くらいにしぼっていた。

  次が論文式試験で7月に3日間7科目でおこなわれる。憲法・民法・刑法・商法・訴訟法選択・法律選択・教養選択となっていた。

  ここで、4000人を500人くらいにしぼる。

  論文合格の場合のみ、口述試験で落第しても、来年度の口述試験の受験資格がある。

  最期が口述試験で10月に各科目の口頭試問が10~30分おこなわれる。10人に1人 程度がおとされる。

 昨年以前の口述落第者がはいってくるので、結局は、最終合格者は500人程度になる。

  科挙については、時代によっては変遷があるが、自薦制度による試験という点では共通する。

  隋の時代に貢挙として登場し、北宋の真宗時代に一回の庶民が高級官僚になる道として運営されるようになった。文民官僚としては進士科が重要視された。

 3年に1度の試験で、数百人が合格した。北宋の人口の最高時は1億2000万人前後と推定され、現代日本とそう変わらない。もっとも男子すべてが受験できたわけではなく、証人など当時の社会でさげすまされた地位にいた場合は受験資格がなかった。

 後世にくらべれば宋代はまだやさしかったそうである。清末の科挙の実際については「蒼穹の昴」などにくわしい。

 受験資格のみに限ってみれば男女平等で職業差別のない司法試験のほうが開かれていたとも言える。ただ、公務員試験は別にあるし、理系の秀才がめざさなくていい試験であるから、学問で名をたてようとする人間すべてがめざしているわけではない。どちらがどうという点では決め手はない。ただ、公務員試験と司法試験をあわせたものか3年に1度ということであれば、これは科挙のほうが難関ということになろう。

 試験内容としてはテキストの四書五経などの古典だけであり、35万字程度である。これは文庫本350頁程度の分量である。これを暗記する。

 ただ、王安石や蘇軾で知られる新旧論争のときでも法律の議論であるのに、法律のなかみではなく古典の引用のみでの議論となっていった。

 司法試験の場合は、憲法の基本書だけで1冊、民法で4~5冊、刑法で2冊、商法で3冊、訴訟法選択で1冊、法律選択で1冊、教養選択で1冊か必要である。ただ、暗記が必要ではなく、エッセンスでよい。このほか判例集が必要となる。

 単純な知識の量では司法試験のほうが上ということになろうか。ただし、暗記レベルで頭にいれること、それを応用した詩作等芸術面の才能が求められるという点で求められている内容が異なっている。競争試験である以上、どちらも難しいことにはかわりはない。

 出世への密接なつながり方を考慮した場合は、科挙のほうが難関といっていいのだろう。、

 

  

 

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2005年7月13日 (水)

司法試験と科挙

 筆者は司法試験を昭和63年に突破しているが、難関ということから、中国の高等文官試験である科挙にたとえられていた。

 ところで、司法試験と科挙とではどちらが難しいのであろうか。

 次回、これを分析してみたい。

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郵趣研究64号 2005年6月

 筆者は切手収集が趣味である。大人の趣味なのでいってしまった状態であり、はどめがなかなかきかない。

 この前のオークションでは封筒1通が500万円強で落札されていたが、筆者はそこまではいっていない。

 東京都目白の学習院大学の目白駅側に「切手の博物館」があり、筆者もときとぎいっている。

 そこで定期刊行しているのが「郵趣研究」でもう64号になった。

 目次は以下のとおり。

 実際は歴史研究や博物学にちかいことがおこなわれているわけである。

21世紀の収集をリードする

郵趣研究

2005年6月15日発行

通巻64号

発行所:財団法人 日本郵趣協会

もくじ

【日 本】

 電信切手・発行120周年によせて………山口 充

短期集中連載・ワンランク上のゼネラル収集(1)

 国別ゼネラル収集のすすめ………天野安治

海外の郵趣誌から………松本純一

現行切手情報・1980年シリーズのカラーマーク………桑野 博

【外 国】

 新連載:国連最初の普通・航空切手の収集………佐々木謙一

       ~1951年シリーズを製造面で楽しむ~

              *「スウェーデン切手発行150年をたどる」と隔号連載

【郵便史】

 韓国・第2次大戦直後の郵便史………飯塚悟朗

     ~切手とはがきを中心とした使用例~

「日韓国交正常化40周年記念切手展」特別展示

「挑戦半島からフランスに差し出された最古の郵便」2通に思う………松本純一

新連載:切手展作品・得点アップのポイント 第1回

 競争出品の作り方を考える(1)………池田健三郎

郵趣・世界と日本(16)

 日本人収集家の草分け………魚木五夫

モリコー機械印・その後………鈴木盛雄

「郵趣研究ブックレット」刊行のご案内

編集室から

 

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2005年7月12日 (火)

ところ変われば品変わる

 民事法アベニューに2005年1月に掲載されたものです。

ところ変われば品かわる        弁護士 岡本 哲

1 「駅」と「待ちぶせ」

2 同時廃止の限界

   ――――ユーミンの「まちぶせ」のはなしから、破産同時廃止のはなしになりました――

1 「まちぶせ」と「駅」

  「まちぶせ」は1981年に石川ひとみがヒットさせた曲。紅白歌合戦にもこれで出場している。片思いの男性を道でまちぶせる内容の歌であり、高校生くらいの女性のあわい恋だと筆者は理解していた。もともとは1976年に荒井由美(ユーミン)が三木聖子に提供した曲である。石川ひとみも三木聖子もアイドルに属する歌手である。当時高校生くらいの年代で、清楚なイメージで売っていたからそのとおりにとっていた。

 ところが、1996年にはユーミン自身がセルフカバーした。このときのジャケットではユーミンはガンマンのスタイルである。ある程度恋愛経験のある女性が手練手管をつくして男性を狩っているイメージがわいてしまう。ストーカーということばさえうかぶ。もう、このころはストーカーということばも一般的であった(ストーカー規制法は1999年制定である)。1970年代や80年代はストーカーということばは一般的ではなく、映画通のひとだとタルコフスキー監督の映画があったなあ、というくらいのものであったろう。

 歌い手、あるいはその解釈が違えばいろいろの聴きかた、聴こえ方があるという例である。

もうひとつ例をあげてみる。

 「駅」は1987年に竹内まりやがヒットさせた曲である。むかしつきあった男性と駅ですれちがったときの女性の心境をうたっている。もともとは1986年に中森明菜のアルバム「CRIMSON」に竹内が提供した曲で、中森のほうは陰々滅々とした印象があるが、竹内のほうは苦しかった恋愛のあと成長した女性がありふれた日常の大切さを歌っているようにとれる。なお、竹内のアルバム「Impressions」のライナーノートに山下達郎(竹内まりやの夫)がこのへんの解釈の違いについてコメントをかいてある。1997年以降の中森のアルバムにも収録されているが、そちらでは、また、ちがった印象を受ける歌いかたになっている。

2 同時廃止の限界

さて、歌手がかわれば曲想がかわる例をあげたが、今度はところかわれば解釈かわる例である。

 町の弁護士、いわゆる町弁の場合、クレジットやサラ金の多重債務者の負債整理の事件が業務全体のなかのかなりの割合をしめるのがふつうである。そして、整理についても任意整理がうまくいかずに、自己破産にたちいたることもかなリ多い。

 裁判所側からみても、個人破産は破産事件全体の95パーセント以上に達している。平成15年は25万件の破産申立があったが、そのほとんどが個人破産ということになる。

 破産申立にあたって債務者側から関心があるのが裁判所の予納金である。自己破産になった場合には、管財事件となるか、管財事件にならない同時廃止になるかで裁判所の予納金額がちがってくるので、債務者側としては大きな差となってくる。

岡山の場合では、平成16年改正以前は、だいたい30万円程度の破産財団が形成されるかどうか、ということの大まかな判断でやっていた。ただ、ある程度の柔軟性はあり、例えば生命保険金の解約返戻金がある場合には、それが30万円をこえる場合でも再度の保険加入が困難な債務者の場合には、解約返戻金相当額を積み立て、申立代理人が債権者に任意に配当をおこなうことにより、生命保険契約を維持しており、さらには同時廃止をする、という扱いもなされていた。なお、少額管財制度も実験的の場合は20万円が基準となる。名古屋の場合はどうも40万円が基準となっているようである。

今回の破産法改正で自由財産の範囲が99万円となった。改正前は,個別執行では66万円(平成16年4月改正で)、その前は21万円だった自由財産の範囲が急激に拡張されたという印象を受ける。新法では自由財産の拡張の際に管財人の意見聴取が原則となっていることから考慮すると、同時廃止か否かは管財費用を支弁できるかどうかを基準として、その後債務者の生活を勘案するということであるから同時廃止の基準自体は法改正によっての影響はないようである。

 保険金・預貯金・現金の取扱についてどうするかは、各地方、例えば岡山と広島でも細かいところでわかれていたようであるが、これは平成17年改正でも特に手当てがなされておらず、地方の差は維持されるようになった。例えば、弁護士へ債務者が預けている金について債権とみると現金とみるかによって扱いは異なってくる。

 歌詞の解釈の場合は、つくったひとの意思があったとしても別に解釈してもよい。法律で立法者意思が絶対でないのと同様といえよう。同時廃止の限界については、規則でもきまっておらず、各庁による取扱は微妙に異なる状態は今後も維持されるようである。

 依頼者の利益のためには、住民票を変更してでも、もっとも同時廃止が認められやすいところで破産申立をすることが必要かもしれない。(法廷地漁り(フォーラム・ショッピング)として本来はあってはならないことなのであるが)                      

参考文献 季刊「事業再生と債権管理」2005年1月5日号 特集 裁判実務からみた新破産法 社団法人金融財政事情研究会

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2005年7月11日 (月)

印紙のトリビア

2005年1月に民事法アベニューにかいたものです。

印紙のトリビア 岡本 哲

1 30円の印紙

2 200円の印紙

1 30円の印紙

筆者の師匠にあたる宮崎乾朗弁護士が「法律家の事実認定能力」という著書で書かれているはなしがある。かいつまんで紹介する。破産法の改正によって否認権については実務がかわってしまったが、旧法下の話である。

 昭和49年6月23日にメッキ会社が倒産した。和議(現在なら民事再生)の申立がなされ、メッキ会社の不動産は同年3月15日の契約に基づきすでに取引先の所有になっており、目ぼしい財産はないという状態になっていた。状況からみてこの3月15日の契約については日付をバックデートしている疑いが濃い。

 倒産の前後を問わず、債務者が債権者を害することを知りておこなった不動産の譲渡行為は債権者取消権や否認権の対象となるが、この契約書は倒産よりも3カ月以上前なので差害行為とするには立証が困難であった。宮崎弁護士は契約書を何度も何度もアラがないかさがしていたが、さすがに見つけることができず、いったん放りだした。そのとき、契約書の印紙の部分が目についた。この契約書には30円と20円の印紙がはってある。

 このころは、50円の印紙をはるときは、30円と20円の印税をたしてつかうことがおおかった。昭和49年4月末までは各種委任状にはる収入印紙は20円だったため、弁護士事務所ではどこでも20円の事務所をかいおきしていた。昭和49年5月1日以降は委任状にはる収入印紙が50円に値上げされたので、新しく30円の印紙を買ってきて買い置きしてあった20円の印紙に足してつかっていた。このときに同じ契約書が5通つくられていた。この時期に30円の印紙が5枚もあるとは考えられない。この時点では30円の印紙の使い道は額面が20万円をこえて30万円以下の手形と物品切手(商品券のたぐい)しかなく、買い置きしてあるとすれば20円の次は50円であった。

 ほんとに昭和49年3月に契約書がつくられていたならば、30円の印紙はつかわれていなはずです。

 メッキ会社の社長に対する証人尋問で以上を根拠にこの契約書は5月1日以前に日付をさかのぼらせたにちがいない、と問いただしたところ、社長はついに契約書を実際につくったのは和議申立の前日である昭和49年6月22日であることを認めた。

 対抗要件否認でいく手もあったかと思われるが、契約自体が否認できたので、より抜本的な解決がなされたと言えよう。

2 200円の印紙

 筆者が昨年した事件である。ドメスティックバイオレンスの事案で、身内にヤクザがいる男から女房が逃げたいということで、筆者は女房側の離婚申立事件を受任していた。離婚自体は紆余曲折のうえ、なんとか成立した。離婚後も、夫のいるところから遠く逃げた元妻に対して請求書の郵送など、元夫からいやがらせはいろいろやられていた。離婚後2年経過したあとに、平成16年になって、平成3年に女房がつくった借金を立替払いしてきたということで、立替金払請求の裁判がおこされた。

 さて、平成3年の契約書なるものがだされているが、この印紙に筆者はピンとくるものがあった。平成になってから印紙は原則として図案の変更はなされていない。しかし、平成7年に目打ち(まわりのギザギザ部分)のピッチがかわっているのだ。これは収入印紙のコレクターの出しているカタログに記載されている。収入印紙はリベニュー部門ということで、切手収集の1部門としており、筆者は切手収集家である。この契約書に貼られた収入印紙の目打ちが、平成7年以降に出現した目打ちであるとすれば、これは日付をバックデートさせた書類ということになる。

 女房側の資力とか、ほかの状況とかも知らせたうえで、印紙についても指摘して交渉をすすめたところ、元夫側の訴え取り下げとあいなった。

 なお、印紙については表面が同じようにみえる場合でも、ここでみた目打ちのピッチのほか、印刷面のスクリーンの数(10倍以上のルーペでみると、スクリーンが走っているのがみえる。このスクリーンの10ミリの間の数をかぞえる。180の場合や250の場合がある)で出現時期が特定できる場合がある。これは切手の場合も同様であり、切手のほうが研究がすすんでいる。

以上

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2005年7月 9日 (土)

ヨンさまと結婚した女性の姓

 平成16年の12月にかいた原稿です。

 もうすぐ法例もかわるので、あと1年くらい通用するかどうかといったところでしょう。

ヨン様と結婚した女性の姓

         弁護士 (岡山大学法科大学院准教授)岡本 哲

1 韓流ブーム

2 ヨン様と山本洋子が結婚した場合山本洋子の姓はどうなるのか

3 戸籍実務の取扱

   ―――流行語のはなしから、「姓」の準拠法のはなしになりました――

1 韓流ブーム

2004年は韓国ドラマ「冬のソナタ」のヒットにはじまった韓流(「はんりゅう」と発音する)ブームの年であった。

ペ・ヨンジュンやチェ・ジウは中年女性のおっかけが多数生じた。(なお、韓国俳優はかたかな表記だが、政治家だと漢字表記なのは、なにかの使い分けなのだろうか?)ペ・ヨンジュンはヨン様とよばれることになっているらしい。

そこで、ヨン様と結婚したい日本人女性もおおいだろうが、その際姓はどうなるのだろうか。例えば、ペ・ヨンジュンと日本人山本洋子が結婚したらぺ洋子になるのだろうか、それとも山本洋子だろうか。

日本法では夫婦は同一姓をなのることになっているが、韓国法は別姓である。そこで国際私法の出番である。

2 ヨン様と山本洋子が結婚した場合山本洋子の姓はどうなるのか。

2-1 学説分岐 国際的な法律関係で法の抵触(衝突)があった場合は、国際私法によって準拠法が決定され、その準拠法によって当該法律関係が規定されることになる。

国際私法上学説がわかれている。

婚姻の際の夫婦の姓の決定については「婚姻の効力」によるとして法例14条により夫婦の共通常居所地法等によるとする説と、氏の問題はひとつの独立の人格権たる氏名権の問題であるから、夫婦各自の属人法によるべきとする説が対立している。

2-2 婚姻の効力法説による処理

婚姻の効力法説によると法例14条によることになる。法例14条は段階的連結主義をとる。第一に夫婦の本国法が同一のときはその法律が適用される。この場合は夫は韓国、妻は日本なので本国法が異なり、あたらないことになる。第二に共通本国法なき場合は、夫婦の常居所地が同一なるときはその法律によっている。ヨン様が韓国に住みつづけ、山本洋子もそこに住むということであれば、常居所は韓国となり、準拠法は韓国法ということになろう。となれば、この説によると韓国法により夫婦別姓ということになるから、山本洋子は山本洋子のままである。

ヨン様が日本に常居所かあり、山本洋子も同居しているとなると(あまり考えられないが、おこりえないわけではない)、常居所は日本となり、準拠法は日本法になる。このときは妻か夫の姓を共通姓としてえらぶことになる。ヨンさまが姓をかえて山本ヨンジュンになるか、山本洋子が姓をかえてペ洋子ということになる。しかし、山本ヨンジュンお名を韓国は認めないだろうから本国で認められない名前を日本で認めるという国際強調主義からは問題のある結論となる。

法例14条は第三に共通常居所地法なき場合は密接関連法によることになるが、これは当事者にとってどこの法律になるかわからず困惑することになろう。ヨン様の常居所地が韓国、山本洋子の常居所地が日本となってしまったような場合である。

2-3

氏名権説による処理

この点、氏名権説は明解である。

氏名権説によれば、夫は韓国法、妻は日本法により、常居所がどうあろうと山本洋子は山本洋子ということになる。日本民法の定めの夫婦同氏にならないが、これは夫に対して日本民法が及ばないことの当然の帰結ということになる。

 なお、この点、判例がどちらの説をとるか明解に指摘したものはない。

3 戸籍実務の取扱

わが国戸籍実務の取扱としては、国際婚姻には民法750条の適用はなく、外国人と婚姻した日本人の氏は婚姻の結果としては変動しないものとされる。ただ、日本人が外国人たる配偶者の氏に変更を希望する場合に限り、戸籍法107条2項により婚姻後6カ月以内であれば届出により氏の変更が認められる。婚姻6カ月以後は、戸籍法107条1項により、家庭裁判所による氏の変更が認められれば変更可能となる。

戸籍法106条2項によってぺ洋子になる場合は、国際私法上ペ洋子になっていることが前提となっている。婚姻の効力法説によると、こういう場合もありうることになる。ただ、通常のファンの願望、韓国にいってヨン様とくらしたい、という形態ではペ洋子ではなく、どちらの説からでも山本洋子は山本洋子のままである。残念!(なのか?)

参考文献 溜池良夫「国際私法講義[第2版]」有斐閣 1999年 420頁以下

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2005年7月 8日 (金)

キャンディと著作権

キャンディとともに著作権を考える        弁護士 岡本 哲

1 「キャンディ・キャンディ」

1 「1、2の三四郎」にもでてくるキャンディ

2 最近は単行本がでない

2 「キャンディ・キャンディ事件」

 1 判例紹介

 2 筆者の疑問

   ―――「1、2の三四郎」のはなしから、「キャンディ」のはなしになりました――

1-1 「1、2の三四郎」にもでてくるキャンディ

小林まこと「1、2の三四郎」(講談社)をよみかえしていると、高校の学園祭のシーズンの応援幕とか、ヒロインがみる夢のなかに「キャンディ・キャンディ」の主人公キャンディがよく登場してくる。もともとは週刊少年マガジンに連載されたマンガであり、小学校高学年から高校生くらいが本来の読者層であるが、なかよし連載の「キャンディ・キャンディ」についても十分基礎知識があると判断され、パロディの対象となったのであろう。

筆者の事務所は

岡山市

にある。となりの

倉敷市

にいがらしゆみこ記念館があるため、キャンディの認知性は高く、20代~30代の事務員すべてがキャンディを知っていた。

小谷野敦「軟弱者の言い分」2001年・晶文社のなかでも高校時代の氏がアニメをみるのを楽しみにしていたことが書かれている。

「わが青春のヒロイン

 高校二年生のころ、私は、三時に学校が終わるとすぐに帰途につき、帰りの電車に飛び切手いた。五時から再放送のアニメ『キャンディ・キャンディ』を観るためである。私は再放送で「キャンディ」を知ったのだが、全九巻の原作コミックスも、それから毎週二冊ずつ買って読みおえた。当時ビデオはなかったし、家から学校までは一時間半ほどかかったので、これを観るためには全速力で帰らなければならなかったのだ。一九七九年のことだ。」(197頁)

1-2 ところが最近はこのキャンディの単行本は発行されていない。同時期のライバル雑誌「りぼん」「花とゆめ」掲載作品であれば、テレビ化されていずとも、文庫本などで1年に1度くらいのペースで増刷されている。それと比較しても、増刷がないのはおかしい。

 「新潮45」2004年11月号でこのへんの事情についてはふれられている。

 基本的には著作権のトラブルで増刷ができなくなっている。どのようなトラブルだったのだろうか。

2 「キャンディ・キャンディ事件」

 「判例マスター」で「キャンディ・キャンディ」をキーワードで検索すると、刑事事件のほかに民事事件が3件でてくる。しかし、判例検索ソフトに、こんな固有名詞もはいっているのは、ちょっとした驚きであった。

 

2-1 判決紹介

 原作者である水木杏子が原告となり、漫画家であるいがらしゆみこが被告となってキャンディを描いたリトグラフ等の販売中止等を求めた事件である。原告水木杏子のほぼ全面勝訴判決になっている。その不仲は現在も尾をひいてコミックス(これは二次的著作物であることについては争いはないと思われる)についても水木杏子・いがらしゆみこのどちらもが同意しない限り出版等できないことになっていて、いまだに不仲が続いているせいで、現在も再版にいたっていない。

 一審の判旨は以下のようになっており、控訴審・最高裁でも支持された。

 長編漫画連載中の1コマ絵、掲載雑誌の表紙絵、掲載終了後19年後に制作されたリトグラフ等の原画のすべてにつき、原著作権者である物語作者の二次的著作権を認めた。

① 長編連載漫画が、原作原稿を原著作物とする二次的著作物に当たるとされた事例

② 長編連載漫画の主人公を描いたリトグラフ用原画の作成等が、右漫画の原作原稿の著作者が二次的著作物たる右漫画につき原著作者として有する複製権を侵害するとして、原作原稿の著作者による差止請求が認容された事例

③ 本件連載漫画は、連載の各回ごとに、原告の創作に係る小説形式の原作原稿という言語の著作物(右原作原稿が、思想又は感情を言語によって創作的に表現したものであって著作物性を有することは、連載の一部の回に係る原作原稿である甲第四〇号証、第四二号証、第四八号証、第五〇号証、乙第一〇号証、第一二号証、第一三号証、第一九号証及び第二〇号証から明らかである。)の存在を前提とし、これに依拠して、そこに表現された思想・感情の基本的部分を維持しつつ、表現の形式を言語から漫画に変えることによって、新たな著作物として成立したものといえるのであり、したがって、本件連載漫画は、原告の創作に係る原作原稿という著作物を翻案することによって創作された二次的著作物に当たると認められる。

④ 本件連載漫画における絵の部分は専ら被告Yが創作したのであるから、本件連載漫画を絵という表現形式においてのみ利用することは、被告Yの専権に属するというにある。しかしながら、前記認定のとおり、本件連載漫画は、原告の創作に係る原作という言語の著作物を、被告Yが漫画という別の表現形式に翻案することによって、新たな著作物として成立したものであり、右翻案に当たっては、漫画家である被告Yによる創作性が加えられ、特に絵については専ら被告Yの創作によって成立したことは当然のことというべきであるが、このようにして成立した本件連載漫画は、絵のみならず、ストーリー展開、人物の台詞や心理描写、コマの構成などの諸要素が不可分一体となった一つの著作物というべきなのであるから、本件連載漫画中の絵という表現の要素のみを取り上げて、それが専ら被告Yの創作によるからその部分のみの利用は被告Yの専権に属するということはできない。そして、前記のとおり、本件連載漫画が原告作成の原作との関係において、その二次的著作物であると認められる以上、原告は、絵という要素も含めた不可分一体の著作物である本件連載漫画に関し、原著作物の著作者として、本件連載漫画の著作者である被告Yと同様の権利を有することになるのであり、他方、本件原画のような本件連載漫画の登場人物を描いた絵は本件連載漫画における当該登場人物の絵の複製と認められるのであるから、これを作成、複製、又は配布する被告らの行為が、原告の有する複製権を侵害することになるのは当然である。

  控訴審では、以下の⑤⑥の主張が被告から付加された。

       本件コマ絵はストーリーを表しているコマ絵ではないから、物語の二次的著作権の対象にはならない。

⑥ 本件表紙絵または原画(の原画)は、真実は物語原稿受領前に作成して編集者に交付

されているので、二次的著作物の対象ではない。

⑤について控訴審判決は、二次的著作物は原著作物の創作性に依拠しそれを引き継ぐ要素(部分)と、二次的著作物の著作者の独自の創作性のみが発揮されている要素(部分)との双方を常に有するものであるが、著作権法28条はこれを区別していないから右第一の主張は理由がないとした。

⑥について 控訴審は、本件表紙絵・本件原画が本件連載漫画の主人公であるキャンディを描いたものである限り、その主張のような事情が存在するとしても、本件連載漫画の複製(あるいは翻案)としての性質を失うことはありえないから、この主張も理由がないとした。

 ⑤⑥の判断は最高裁でも維持された。

2-2 筆者の疑問

 2-2-1 実質的判断

 これは、原作からマンガにした事件だが、原作から実写の場合とくらべてバランスが失しているように思われる。

 小説のキャラクターと実写やアニメになったキャラクターとは別ものといっていい。

例えば、「ターザン」がバロウズの原作と映画では全く異なっている。エメリッヒのゴジラと東宝のゴジラは別ものであることに異論があるひとはあまりいまい。

「キャンディ・キャンディ」が舞台にかかり、ャンディ」るい。しれない。こんな女優がキャンディを演じた場合でも、女優自身の写真やブロマイドを販売するときの権利は通常はその女優にある。キャンディと別個のそのキャラクターは観念可能であろう。

コミックスそのものについては原作者の原作からの二次的著作物といっていいが、19年後制作のリトグラフについては二次的著作物の範囲としては疑問がある。絵をかうのは絵の魅力のためであり、その購買喚起力は原作の魅力だけではない。ブロマイドをかうのは女優の魅力である場合と比較しても明らかであろう。

⑤⑥の二審についてはとくに疑問かある。

 マンガ家の場合、手塚治虫先生などはスター・システムをとっており、同じ絵の人間が別々のマンガで別々の役割をするようになっていた。いがらしゆみこ先生のマンガをすべてみたわけではないが、キャンディについてもそばかす・髪形・服装以外についてはいがらし先生の典型的な主人公であり、他の悪役についても類型的な造形となっている。

 また、アニメの場合は造形部分のキャラクターデザインについて、とくにそれぞれの担当者がいる場合もおおく、原作者とはまた別の地位が与えられている。

 本件程度の事実関係でキャラクターについて二次的著作物としたのは疑問がある。

 このへんの事実関係について二審では被告側が十分主張立証をつくしていなかったのかもしれない。

 2-2-3 学説

⑤については滝井朋子先生・作花文雄先生が「二次的著作物の一部複製物は、当然に二次的著作物であって法28条の適用を受ける、とする本判決の理論部分及びこれを肯定する控訴審の判断には賛成できないとされる(村林古稀369頁)。特に二次的著作物といえども、その購買喚起力が絵の力にある場合にこの結論は疑問がある。

絵の力及びマンガ表現におけるコマ割の重要性、アニメ・マンガにおけるキャラクター造形の重要性について軽視されたところがおおいように筆者も感じている。

原作者の原稿料とのバランスの問題があるが、「創作性」を保護する著作権法の解釈としては独自のものについては独自に評価する姿勢があってしかるべきと思料される。

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2005年7月 7日 (木)

婚姻無効と離婚

2005年3月に民事法アベニューにかいたものです。

婚姻無効と離婚        弁護士 岡本 哲

1 ブリトニー・スピアーズと松村邦博

2 婚姻意思とは

3 離婚はありうるか

4 結論

   ――――アイドル歌手のはなしから、法律行為のはなしになりました――

1 ブリトニー・スピアーズと松村邦博

ブリトニー・スピアーズ(以下、「ブリトニー」)と松村邦博(以下、「松村」)の共通点はなにか?

ブリトニーはアメリカの妙齢の女性アイドル歌手である。最近では奇行でも知られている。

松村はお笑い芸人で、女性誌の抱かれたくないタレントの上位常連である。

この二人に共通点はあるのだろうか?

すこし考えてもらえたい。わかったひとはかなりの芸能ゴシップ通兼務法律の通である。

ブリトニー・スピアーズは20041月に泥酔のうえ幼なじみと結婚をし、無効になっている。松村邦博の無効な婚姻、というのは、あまり知られていない。

松村は1992年から放送された「進め!電波少年」のアポなし突撃ロケで名をなしたタレントである。この番組は関東ローカルから始まったため、関西在住のわたしには視聴できなかったコンテンツがある。今となってみてみたいのは、「バツイチになってもてたーい」というタイトルだったと思うが、離婚を一回したバツイチのほうが、まったくの未婚よりももてるという風潮があったため、松村が通りすがりの女性と婚姻届をだしてすぐ離婚届をだすという企画があった。

離婚届の受理までいったようである。後日立川談志師匠が戸籍までギャグにするんじゃねえ、という苦言を呈したという噂があった。

このような婚姻無効騒ぎがあったという点で松村とブリトニーは共通している。

2 婚姻意思とは

松村と通りすがりの女性との婚姻は形式的に婚姻届が受理され、おそらく戸籍にも記載されたものであるが、はたして法的に有効なものなのであろうか。

婚姻の成立には婚姻意思が必要である。

婚姻の効果を生ぜしめる意思が婚姻意思であるが、婚姻の効果にはさまざまなものがある。夫婦同一氏(民法750条)、同居・協力・扶助義務(民法752条)、貞操義務(民法770条1項1号参照)、相続権の発生(民法890条)、子の嫡出推定(民法772条)等々である。婚姻の意思について、以上の効果のうちどこまでの意思があるということか、以上の効果のうちのあるものを排除あるいは修正する意思が表明された場合、そのような意思は「婚姻の意思」とはいえないのか。

この問題について学説は大きく実質的意思説・法律的定型説・形式的意思説にわかれている。

実質的意思説は、社会的通念に従って婚姻とみなされる関係を形成する意思が婚姻の意思とする考え方である。

法律的定型説は、民法の定める定型にむけられた意思を婚姻の意思とする考え方である。

実質的意思説のなかでも「男と女の終生にわたる精神的肉体的結合を発生せしめる意思」とか「特定の相手とテーブルとベッドを共にする関係にはいろうとする意思」と定義する見解など意思の中身を具体化する努力がなされている。

さきほどの松村の例では、一日で離婚届をだすことを前提とした婚姻届提出であり、同居も扶養も貞操もありえないから、実質的意思も法律的定型もないことになり、婚姻としては要件をかくことになる。

形式的意思説からは原則として婚姻の届出意思があれば足りるとされる。これをそのままあてはめれば松村のケースでは婚姻は有効となりそうである。しかし、純粋な形式的意思説というのは存在せず、形式的意思説からも、婚姻の基本的効果を享受しようとする意思すら欠けている場合は、婚姻意思はないことになる。松村のケースは形式的意思説からも婚姻として要件を欠くことになる。

ただし、婚姻届は受理されてしまっている。この場合、訴訟なくとも無効といえるのであろうか。人事訴訟手続法2条の機転との関係で問題となる。

訴訟を要せず、無効であるとする当然無効説が有力であるが、無効確認訴訟が必要という説もある。

当然無効説からは松村は離婚ができるかどうか無効な婚姻をさらに離婚できるかという二重効の問題が生じる。訴訟を必要とする説だと松村は離婚可能ということになろう。

3 離婚はありうるか

無効な婚姻について離婚をなしうるのだろうか。

ないものをさらになくすることができるのだろうかという無効と取消の二重効の問題と同様に考えてよい。

無効と取消の二重効について、かつては、無効なものを取り消すことはできないという考え方が一般的であった。しかし、取消も無効と同じように法律行為の効果を否認する手段にすぎず、無効の法律行為は無であって取り消しうる余地がないと考えるのは、法律的概念を自然的概念と過度に同視するものであるという批判か有力となった。現在では、競合可能という考え方が通説である。

ては、無効と取消のどちらの効果が生じるのだろうか。

無効なものが取り消された場合は、行為者は、無効の効果か取消の効果かのいずれかを選択的に主張しうるとする。

この考え方だと、婚姻無効も離婚も松村は主張しうることになり、松村としてはバツイチといってもいいことになろう。

通説に対しては異論もある。四宮説は法律行為がふたつの原因によって効力が排除されるのに、行為者は経済的・実質的には現状回復にむけられた単一の法的地位を取得するにすぎない、そうだとすれば二つの効力排除規範によって基礎づけられたひとつの法的地位が成立する、そして、理論的にはこの法的地位の内容規範は、全法秩序の立場から、二つの効力排除規範を統合することによって、すなわち、問題点ごとに、原則として行為者にもっとも有利な規範をもって形成すべきであるとする(全規範的統合説)

この説だと婚姻無効のほうが離婚よりも行為者に有利(離婚だと有効な婚姻期間が存在することになりかねない)なので、婚姻無効を一元的に主張すべき、ということになるのであろう。そうなると松村はバツイチを主張できないことになる。全規範的統合説に対してはどうやって統合されるのか具体的場合であいまいであるという批判があり、通説になるにいたっていない。

なお、協議離婚が成立していても、婚姻無効確認訴訟はなしうる。筆者も最近、この種の認容判決を婚姻無効を主張する原告側で得たことがある。当事者の選択と時間的にいつまで選択できるかはよくわからない。

4 結論

結局、松村の婚姻も無効であり、ブリトニーと同様婚姻無効の事件をおこした、ということがいえる。

なお、通説ラインからは、懇意無効のほかにも離婚は成立しており、松村は自分がバツイチと主張しうるということになる。

ただ、これは妥当な結果なのか、なんとなく婚姻制度がバカにされているような気がして、筆者としては釈然としないところである。

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2005年7月 6日 (水)

映画「砂の器」から

 2005年7月6日の山陽新聞夕刊に「砂の器」(1974年)のデジタルリマスター版が東京で上映されているという記事があった。

  すこし前に「砂の器」関連のエッセイをかいているのでここでだしておきたい。

「砂の器」と「ナニワ金融道」         弁護士 岡本 哲

1 「砂の器」と「ナニワ金融道」

2 迂回融資の違法性

3 顧客の相談にどう答えるか

   ―――テレビドラマ「砂の器」のはなしから、迂回融資のはなしになりました――

1 「砂の器」と「ナニワ金融道」

表題の「砂の器」と「ナニワ金融道」、どこでつながるのだろうか?すこしつながりを考えてみてほしい。

今年は松本清張原作「砂の器」の何度目かのテレビドラマ化があった。

筆者は

岡山県
出身であり、原作では岡山がすこしでてくるので、ドラマでどう扱われているか気になった。1974年の映画のほうでは
岡山県
で名優として知られた加藤嘉演じるの「父親」がハンセン病患者の収容施設にいて、丹波哲郎と森田健作の刑事から、和賀の写真をみて、うろたえ、ふるえながら知らない、そんなひとは知らないとシラをきる名場面がある。

今回のドラマのほうでは岡山との関係はほとんど省略されたようである。巡礼の親子を三木巡査が保護するところも場所が原作とはかわっていた。原作では

岡山県
であるが、ドラマでは
島根県
である。

主演は、中居正広であったが、彼がドラマ化された青木雄二作「ナニワ金融道」の主役をやっていたことはご存じであろうか。ナニワ金融道もリメイク予定であるが、さすがに主人公は変えるようである。長者番付常連が「つまんどる」(サラ金から借りていることの金融業者の隠語)の青年を演じるのは無理があるということであろうか。ただ、音楽の苦手なのにピアニスト・作曲家を演じるのとそれほど距離があるとも思えないような気もする。

 ナニワ金融道の中居が帝国金融につとめて最初の客は連帯保証のワナに女性公務員をはめる話である。

このような「保証人殺し」のやりかたは最近は批判がおおくなって、金融業者もやりにくくなってきている。

金融業者甲は、倒産しかけの建設会社乙に追加融資をしたいが、内部規則違反になりそうである。顧問の会計事務所は株式会社化した丙会社であるが、ここへの融資なら内規違反にはなりそうにない。そこで、丙会社に融資したかたちで内部のオーケーをとったうえ、丙にわたった金はそのまま乙会社に送金された。乙会社はそのあと案の定倒産した。丙会社に対して甲から請求があった。丙会社から相談を受けた弁護士としてはどのような手段を考えるか。その際留意する点はなにか。

2 迂回融資の違法性

 迂回融資自体は、金融機関が内部の規制をくぐりぬけるためにバブル期以前はわりとおこなっていたようであり、当時の規制にはあまり合理的とはいえない規定もあったようで、ふるいひとには全く違法性の意識のないひとがいる。

 しかし、平成3年以降組織犯罪対策法などで暴力団に流れる資金等を規制するため、このような迂回融資は違法であるという認識が実務家のなかで徐々に共有させるようになってきた。

 実際問題迂回融資が横行していては、不良債権の分類等も支障をきたすわけである。

 では、この場合、違法な迂回融資であるとしても、乙会社には、どのような法律構成をとるべきであろうか。

 実体と形式が乖離している法律行為については心裡留保と虚偽表示の規定がある。そして、司法試験のヤマでもある民法93条但し書き類推がある。(筆者がはじめて司法試験論文式試験をうけた昭和59年度の民法でも出題されている。筆者はよくできなかったので、ぎゃくによく覚えている)。

 実際には丙に対する融資であって、乙に対する融資は外観をととのえた心裡留保類似の状態であり、実体について悪意なのであれば実体のみについて法律効果を帰属させるべきであると主張する。

広島高裁岡山支部 平成12年9月14日 判決 平成一〇年(ネ)一九三号

 貸金請求控訴事件  金融商事判例1113号26頁は

〔銀行が融資を行うに当たり、借主らの名義貸しによる迂回融資であることを知りながらこれに積極的に協力したときは銀行の貸主たる地位は法的保護に値せず、民法九三条ただし書の類推適用により、銀行は、債務者および連帯保証人に対し融資金の返還を請求することができないとされた事例である。

 筆者が控訴人側につきさいわい勝訴することができた。

 このときに、筆者の事務所では新日本法規出版の判例マスターを導入しており、以下の判例を引用することができた。

最高裁第二小法廷 判決 平成7年7月7日判決 平成七年(オ)三六二号

貸金請求事件 金融法務一四三六号三一頁

銀行が住宅ローンの貸付を行なう際、借受人が単に名義を貸したにすぎないことを知つていた場合には、消費貸借契約上の貸主として保護を受けるに値せず、民法九三条但書の類推適用により、右借受人に対して貸付金の返還を求めることは許されない。

 最高裁判例とはいえ、民集・裁判集にも掲載されていないかなりマイナーなものなのであり、判例マスターなしにはさぐりあてることはできなかったであろう。

また、裁判経過中に銀行の不祥事が次々と明らかにでたのが一審敗訴を逆転できる原因となったものとも思われる。

 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし、は、前阪神監督の野村克也の明言であるが、これは不思議の勝ちであった。

3 顧客の相談にどう答えるか

 法律構成に最高裁判例の応援がついたとしても、まだまだ留意点はある。

実質は保証なのだと甲が主張し、丙の署名捺印で保証人あるいは連帯保証人なとどして一筆をいれている場合は、実質が一致してしまう。このような保証意思を確実にする証拠が存在するか、否か、また、虚偽表示類推の基礎となる証拠、乙丙の資金需要等の証拠についても十分収集する必要がある。

                        以上

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2005年7月 5日 (火)

ノンタンと著作権

ノンタンといっしょに著作権を考える

   ――タレントの話から著作権者の認定のはなしになりました――
1 千秋の業績
2 ノンタン事件の概要
3 先例としての価値

1 千秋の業績
   2004年9 月12日放送の「笑っていいとも増刊号」をみているとテレホンショッキングのコーナーにタレントの千秋がでていた。タモリと子育ての心構えなど話していて、なかなか気の利いた発言をしていた。千秋はポケットビスケッツのボーカルで紅白歌合戦に出場した歌手でもあるが、現在はタレントという位置づけであろう。育児エッセイも出版している。二人組タレント、ココリコの遠藤の妻でもある。
 千秋には声優としての顔もあり、1990年代前半に人気のあった「ウゴウゴルーガ」のコーナーでノンタンの声をしていた。
 さて、民事法のコーナーなのであるが、この千秋と民事法はどこに関連するのだろうか?
 実は千秋が声をあてたノンタンの事件が著作権法で興味深い先例を提供しているのである。この判決は、共同著作物であるような表示がなされた著作物について、その表示に反して単独の著作物と認定した。共同著作物と表示されたものについては共同著作と推定するという、法律上の推定を覆したのである。新たな法律論を述べたというものではなく、事例判決であるが、事実認定でどのような証拠を重視したかという点で実務家には参考になる。

2 ノンタン事件の概要
 東京地裁平成10年3月30日(東京地裁平成2年(ワ)第4247号 著作権存在確認等請求事件 平成3年(ワ)第14827号 著作権存在確認等反訴請求事件 )著作権速報218号 1頁

 原告Xは絵本作家、被告Y1は漫画家である。XとY1が結婚して共同著作名義のもとに昭和51年ごろから主人公ノンタンの絵本1(著作目録の絵本)を創作して出版社Zから出版して好評を博していた。
絵本1の著作目録は、いずれも偕成社刊で「ノンタンぶらんこのせて」「ノンタンおやすみなさい」「あかんべノンタン」「ノンタンおよぐのだいすき」「ノンタンほわほわほわわ」「ノンタンおねしょでしょん」「ノンタン!サンタクロースだよ」「ノンタあわぷくぷくぷぷう」「ノンタンのたんじょうび」「ノンタンボールまてまてまて」となっている。      
XとY1は、昭和50年ころ、子ギツネを主人公にしたタイトル「あかんべきつね」という絵本の原案をZに持ち込み、その後、主人公を「ノンタン」という子猫に変更した絵本がZから出版され、続編がつぎつぎとだされた。絵本1についてZとの出版契約書はY1が手続を行い、契約書の著作者名にはXY1のペンネームが記されており、契約当事者欄にはY1だけが記されていた。その後作成された出版契約書には著作者及び著作権者ともに両名の名が記されている。絵本1の印税は、昭和57年までX個人の銀行口座に送金されていたが、昭和57年に著作権の管理や販売代行を目的とするY2を設立し、Y1が代表者に、Xが取締役に就任し、以後の印税はY2の口座に支払われた。絵本1以外にXは複数の幼児向け月刊誌に創作絵話を掲載し、Xを著作者と表示したり、前記Y1のペンネームの最後の2文字を省いたものを使用していた。
XとY1は昭和59年ごろに不仲となりX作成の協議離婚届が提出され、Y1が離婚無効の調停を申し立てたが不調となった。ノンタンシリーズの続編を望むZはY1に試作を依頼したが、同試作はストーリーの展開や子どもに対する見方が絵本1と対極的な違いがあり、Zの採用するところとならず、その後の絵本原稿も同様であった。ZはXに絵本1の続編の制作を依頼して出版し(絵本2) 、Yはこれに同意している。
 絵本2の目録は「ノンタンぱっぱらぱなし」「ノンタンこちょこちょこちょ」「ノンタンバーテデイブック」「赤ちゃん版 ノンタンおしっこしーしー」「赤ちゃん版 ノンタンにんにんにこにこ」「赤ちゃん版 ノンタンもぐもぐもぐ」「赤ちゃん版 ノンタンあそびましょ」「赤ちゃん版 のんたんいないいなーい」「赤ちゃん版 ノンタン自動車ぶっぶー」「赤ちゃん版 ノンタンおはよう」「赤ちゃん版 ノンタンはっくしょん!」「ノンタンかるた」
である。 著作権目録・物件目録記載のものについて当時や現在でも育児中の読者のなかにはもっているかたもおられるのではなかろうか。
Y1Y2はXの承諾なく、ノンタンの絵本のキャラクターであるノンタンの図柄とnontanの表示をした物件目録記載の商品の販売をおこなった。
Xは、被告Y1及びZが設立した被告会社Y2に対して、右絵本1の著作権存在の確認及び複製権侵害の損害賠償300万円を請求する本訴を提起した。
複製権の対象の物件目録では、スポーツタオル、ハンカチ、タオルハンカチ、浴用タオル、布製エプロン、布製袋で、いずれも別紙著作目録記載の絵本のキャラクターである子猫「ノンタン」を図柄に採り入れ、かつnontanの表示をしている。
 被告Y1らは、反訴請求として絵本1の著作物については被告Y主導の下に制作され、原告Xは補助者であるから、著作権はY1に属すること、及びXに対してノンタンの絵本とカルタの出版・製造・販売の禁止を請求した。
(実際の判決ではキャラクター自体の著作物性とか、Y1の相続が生じて訴訟承継関係が複雑でわかりにくいため、ここでは本訴も反訴も主たる請求と反訴に限定し、訴訟承継については省略して説明する)
 判決は、著作者とは、著作物を創作する者であり、これをいいかえれば、当該著作物の思想又は感情の表現につき創作的関与をした者であり、たとえその創作過程において複数人が何らかの形で関与したとしても、創作的寄与に及ばない単なる補助者は著作者とはなりえない。絵本1の創作過程は、テーマやストーリー等の構想をまとめ、これを具体化するラフコンテや絵コンテを創作し、編集者に示してその意見を聞くなどしてストーリーや絵の大要を固め、実際の絵本の版下となる原画の作成に至るものであること、原画は鉛筆で下書きをした後、輪郭線を決め(これが耐水性ペンで引かれるか、墨線を引くかにつついては、XとYの供述に齟齬がある)、色を塗り終えてから、最後に絵の輪郭線を毛筆(墨)でなぞって完成に至ることが認められるが、絵本1の創作的表現の核心部分は、扱うテーマやストーリーを構想し、これを具体的に表現する絵柄やその配置、配色の決定及び文字記述部分にあるものと解される。従って、これらを創作した者が著作者たりうるものであって、単に決められた色を塗ったり、輪郭線の仕上げをするにとどまる場合は、単なる補助的作業であって、著作物の創作行為とは評価できないものと考えられるとし、Y1の関与はいずれも補助的作業にとどまると解されるとした。このさいに以下のXに有利な事実を参照している。丸数字は筆者が便宜的につけた。
①Y1がZに対しXがノタンシリーズの続編を制作するにつき同意したこと、②XとYとの間で当初はXが印税全額の支払いを受けることの了解がなされていたこと、③先行作品「あかんべきつね」がXによって創作されたものであること、④本件絵本1の刊行前のY1の作品には本件絵本1と共通点を有するものと認められる作品を見いだせないこと、⑤本件絵本1の原画にXの筆跡と認められる鉛筆による記載があり、絵コンテにもXの筆跡と認められる記載があるとした。
Y1に有利な事情としては、①色塗りや仕上げの輪郭線を引く作業にY1が関わり、その作業の中でYが豊富な経験を生かして絵の具を配合したり、Xよりも上回る技術を駆使して仕上げの輪郭線をひいた、というのをあげている。
まとめてしまえば、絵本1はXの独創性があらわされており、Y1はその続編をつくる独創性はなかったということにつきる。

 3 先例としての価値
 本件は絵本の創作過程について創作的寄与とはなにかを明らかにしている点で先例の価値がある。
 後掲の判例評釈で谷口弁護士は、XY1が共同の著作者名義を表示していた経過があることから、共同著作名義の表示かあったとして著作権の共有を主張できたのではないかと疑問を呈している。

 ただ,この合意についても通常の共同著作と異なり、夫婦間の同意であるから、同意の認定や取消自由の原則の問題も含めていろいろと複雑な問題もでてきそうである。
 ノンタンの描き方であるが、輪郭線を最後になぞるということは、この判決で初めて知った読者もおおいと思われる。筆者もおどろいた。
 ノンタンは波風の立った輪郭線が特徴であったが、その作者のほうにも波風が立っていたと言えようか。

参考文献 谷口由記「著作権法一四条の推定を覆して著作者を認定した事例」「村林隆一先生古稀記念 判例著作権法」東京布井出版 2001年

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国際私法について 2

国際私法について(2) 弁護士 岡本 哲

国際私法は国際法か

―――時代劇マンガのはなしから国際私法の法的性質のはなしになりました――

1 江川太郎左衛門英竜の最期

2 江川英文と国際私法本質論

1 江川太郎左衛門英竜の最期

みなもと太郎「風雲児たち」リイド社という長編マンガがある。江戸時代編が24巻で幕末編が7巻まででている。マンガ評論家呉智英が絶賛している。月刊誌「乱」に連載中である。現在発売中の8月号ではお台場の砲台建設や高炉建設で活躍した江川太郎左衛門英竜の最期がとりあげられ、子孫たちの活躍もふれられている。その4代あとの子孫が江川英文(1898~1966)東京大学教授・国際法専攻と紹介されている。

 江川先生は国際私法の本はかかれているが国際法の本はかかれていない。

江川先生は国際法専攻なのだろうか?

2 江川英文と国際私法本質論

 国際私法の本質については、国際私法を国際法であるとする国際法説と国際私法を国内法であるとする国内法説が対立していた。

 19世紀以降、フランス・イタリア・ベルギーで国際法説が強く、ドイツ・イギリス・アメリカに国内法説をとる学者がおおい傾向があった。

 現在のわが国においてはほとんど例外なく国内法説であり、江川先生も国内法説である。

 国際法説は、次のようにとく。

国際私法は国際的私法関係に関して内外の私法の適用範囲を定める法律であるが、内外の私法の適用範囲を定めるということは、内外各国の立法権の行動範囲を限定することである。立法権は一国の主権の発動であるから、国際私法は結局各国主権の行動範囲を限定する法律ということである。ところが、国家主権の行動範囲を限定することは国際法のみがこれをなしうる。したがって、国際私法はたとえ国内法の形式をとっていても、その本質は国際法である。

しかし、国際私法が内外の私法の適用範囲をさだめるということは各国の立法権の行動範囲を定めているのではない。各国は私法に関する限り各国の立法権の行動範囲について国際法上なんらの制限も受けない。各国は自国私法の適用範囲をまったく自由に定めることができる。ようするに内国においてある法律関係にある外国法を適用するということは、その外国との国家との関係ではないしその外国がその法律関係を自国法の適用範囲としているからでもない。

したがって、日本が外国法を適用する場合でも例外的場合をのぞいて外国国際私法は考慮しないことになる。

たとえば、日本に住所をもつデンマーク人夫婦について日本法では本国法主義としてデンマーク法が適用されるが、デンマークにおいては住所地法主義なので日本法が適用される。これは国際法説ではおこりえない事態であるが、現在ふつうに生じている。

江川先生は国際私法専攻であるから、国際法に対立する国内法専攻であって国際法の先生ではないことになる。

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国際私法について  1

国際私法について(1) 弁護士 岡本 哲

国際私法の現代化

 

1 はじめに

2 国際私法はどのような法律か

3 現代化しなければいけない理由

法制審議会国際私法(現代化関係)部会長=櫻田嘉章京都大学教授)は、2005年3月22日に「国際私法の現代化に関する要項中間試案」をとりまとめ公表し、意見募集をおこなった。解説等は法務省のホームページに掲載されている。

民法が口語化されて各種の教科書もそろってきた。次は国際私法の改正というわけであろう。

 ところで、読者の手許の六法の目次をみていただきたい。国際法はあっても、国際私法という条項はない。しかし、法学部のある大学には国際私法講座がもれなくあるはずである。

国際私法とはどういう法であり、なぜ改正が必要なのであろうか。

 

 2 国際私法はどのような法律か

民法の場合は、形式的意義の民法と実質的意義の民法とがあり、形式的意義の民法とは「民法」と題する法律であり、実質的意義の民法とは私法の一般法とされる。

   国際私法の場合は形式的意義の国際私法がないわけで、実質的意義の国際私法が法例なお、「法例」は、「法令」の誤植ではない。律令制以来の伝統ある名称で、法律の適用範囲を定める法律のことである。この法例の3条以下、や手形法や小切手法のなかにあるのが国際私法である。なお、民法92条を勉強するときに法例2条との関係が論点としてでてくるので、少なくとも民法を勉強したといえるひとは法例という法律があることを忘れていないはずである。(実際はよく忘れる))

 国際私法は、国際的私法関係についていずれの国の法律を適用すべきかという問題を解決する法律である。

 

 では、国際私法はそもそもなぜ必要なのか。

 国際的私法関係を国内的法律関係と区別せず、一律的に内国法を適用するという解決もありうる。国際法上一定の国際的私法関係には一定の外国法を適用しなければならないという国際法上の原則はないので、このような解決も可能である。第2次大戦前のソヴェトの裁判所がこのような態度をとっていたと言われる。

 しかし、これでは、その性質に適しない不当な法の適用を結果することになりかねない。たとえば、外国人が本国において本国法にしたがって締結した契約の効力が、このような国で争われたとすると、当事者が全く予想しなかった結果がでてくることであろう。外国人夫婦間の権利義務の問題について、その国の法律が適用されると、当該外国人夫婦にとっては思いもよらぬ結果たりえる。当事者が身に帯びている習慣や倫理観念などを全く反映しない法律を適用するのは当事者にとって妥当を欠く解決をもたらす。(ただ、実務家のシニカルな目でみた場合は、それでも片方の当事者は利益をえているのではないかなあ、という気はする。ここでの議論は法律制定というマクロの場面である。ひとつひとつの事件解決というミクロの場合では得するものがいるとしても、事件全体の集合というマクロとして考えた場合は、問題があるということである)

 そこで、国際的私法関係については外国法または内国法のいずれかによるべきかを問題にする必要があり、どういう場合にどういう外国法を適用し、またどういう場合に内国法を適用するかをケース・バイ・ケースで決めていては法的安定性に欠けるため、国際的私法関係に適用すべき法律を決定する基準を一般的に定める法律として国際私法が必要になる。

3 現代化しなければいけない理由

 国際私法はなぜ現代化しなければならないか。1990年に改正したあと15年でなにがあったのだろうか。

 旧字とカタカナの法律がいまだに残っているのは鬱陶しいというのはあるだろう。

 わかりやすい法律というのは民主主義の基本だからである。

 また、2001年に韓国が国際私法改正をなしたり、ヨーロッパ諸国でも1980年代以降ドイツ・スイス・イタリア・イギリス等に改正があり、また、EUでも統一の動きがあったため、それとのすり合わせが必要になった。

 国際私法が同一であれば、同じ法律関係については各国で同じ法律が適用され、法的安定性に資するわけである。

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2005年7月 4日 (月)

このブログについて

 このブログは、岡本法律事務所(岡山市)所属弁護士 岡本 哲がおもうところをかきこむものであります。

 法律関係がおおくなりますが、雑談的なものも増えてくるかもしれません。

 自己紹介としては1962年生まれ、京都大学法学部卒、修習43期

 民事訴訟法学会・国際私法学会・著作権法学会・法とコンピュータ学会・情報ネットワーク法学会所属

 趣味はアマチュア無線(コンテスター)、切手収集(日本郵趣協会 岡山支部長)、将棋(ペーパー4段)など。

 2005年3月までニフティの法律フォーラムのシスオペをしておりました。

 専門・民事介入暴力対策

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