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2005年10月31日 (月)

貸金業法43条違反による不当利得に付する利息について--事務管理の追認

貸金業法43条違反による不当利得に付する利息について――事務管理の追認構成――

      弁護士 岡本 哲

1 事務管理・準事務管理

2 貸金業法43条の適用なき場合の過払金への利息

3 準事務管理構成のメリット

1 事務管理・準事務管理

1-1 問題の所在

 貸金業者に対する不当利得金返還請求は平成11年以降非常にふえているが、利息等はふされていないのが常である。これについてもうすこし利息をつけさせることはできないのだろうか。不法行為より多額のものの剥奪という制度としては事務管理の規定がある。

 1-2 事務管理とは

他人の財産について勝手な処理をしても費用償還請求権が認められるなど、法的保護が与えられることがある。例えば、外国出張中の隣家の家の窓が暴風雨のために壊れたので、このさき雨が振り込まないように窓の修理をおこなってやる場合などである。これを事務管理という(民法697条以下)。事務管理の要件としては①他人の事務の管理を始めること、②他人のためにすること、③法律上の義務(権限がないこと)、④本人の意思及び利益に不適合でないこと、が通説的な要件とされる。

 1-3 準事務管理とは

他人の事務を権限がないことを知りながら、自己の利益をはかるために管理することがある。特許権や著作権などの知的財産権の無断使用が代表例とされる。これらについて不法行為にもとづく損害賠償請求が成立しうる(民法709条以下)。

 しかし、それでは「損害」しか填補されず、他人の特許や著作権を利用して巨利をあげた場合の利益を剥奪することはできない。

 事務管理であれば、対価を全て引き渡さなければならないのに、同じ行為をしても違法な行為をしたほうが利得を保有できるというのは公平に欠けるから、利得剥奪のための制度をもうける必要がある、という問題意識のもとに提唱されたのが準事務管理理論である。

事務管理のふたつの要件をかいている(自分のためにやっている、本人の意思及び利益に不適合)から事務管理にはあたらない。しかし、準事務管理概念を認めたうえで、利益剥奪を認めようというわけである。

しかし、日本民法は事務管理を明示しながら、準事務管理を規定していない。また、知的財産権については無断使用の損害賠償請求権について侵害者が得た利益その他について損害と推定する規定をおこくことによって実質的に解決されている(特許法102条、著作権法114条等)。

学説としても我妻博士・松坂博士が反対にまわっているし、もう説をあたらめるか可能性もないから、となると、解釈論としては、準事務管理はとりにくいことになろう。

 ところが、加藤雅信先生の平成14年発行の教科書「新民法体系Ⅴ 事務管理・不当利得・不法行為」有斐閣で突破口があった。「事務管理の追認」である。

  ダットサンでもでてくるが、木村常信博士も唱えていたようである。木村博士は推理小説家山村美紗の父上である。

 準事務管理は、事務管理のふたつの要件をみたしていないが、本人があとに追認した場合は本人の意思に合致したとして④は充足し、「他人のため」になされたわけでとはないが、本人がそれを許容しているのだからそれでいい、ともいえる。あるいは事務管理の要件事実から②をはぶく手もあるかもしれない。

2 貸金業法43条の適用なき場合の過支金への利息

  ところで、貸金業者が消費者から利息制限法超過の利息をとりつづけていて、しかも貸金業法43条の要件をみたさない場合は、不当利得として返還債務をおう。この場合商事利息だとしても年間6パーセントの遅延損害金が生じるにすぎない。通常の民事の利息だとすると年間5パーセントである。貸金業者は利息制限法の制限利息(元本が100万円以上であれば年15パーセント、100万円未満20万円以上であれば年18パーセント、20万円未満であれば年20パーセント)を超える金額で運用して利益をえているののに十分その利益を剥奪しえないのである。

 そこで、準事務管理あるいは事務管理の追認によって運用利益も剥奪できる、とするわけである。

 大審院大正7年12月19日判決は、「共有者のひとり甲が他の共有者乙の同意を得ることなく、自己の持分を他に売却する行為は、不法行為を組成するが、他の共有者が後日その売買行為を承認したときは、事務管理の法則により、乙は民法第701条、第646条の規定にもとづき甲が乙の持分を売却して受け取った代金の引渡を請求することができるとする。

 また、民法701条645条を根拠に相手方に報告を求めることも可能になる。

3 事務管理・準事務管理構成のメリット

貸金業者から消費者に対する過剰支払分返還金について年6分以上の割合による利息を認めた判例は寡聞にして筆者は知らない。事務管理・準事務管理構成自体ほとんど主張されていないからであろう。

手続法的にみた場合の事務管理・準事務管理構成主張のメリットとしては、大判大正7年12月19日の解釈から導かれるものであるから、最高裁レベルの判例違反ということを申し立てることができ、318条1項の上告受理申立の理由となるので、必ず最高裁判所の判断をあおぎうる可能性がでてくる。

 また、実体法的にも民法701条645条を根拠に相手方に報告を求めることができる。

 なお、時効開始は追認時ということになろうが、これでは実質的に時効にかからないことになりかねないので、取引終了時点が基準か、終了後、法律家に相談して過剰支払いの存在を知った時、ということになろうか。

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西暦68年の高金利問題

  現在貸し金業規制法及び出資法によって高金利の限界は原則年間29・2パーセントとなっていますが、これは見直論議を近年中にすることになっています。

  このブログで前原民主党代表に関して話題にした塩野七生「悪名高き皇帝たち」ですが、このなかにも金利をあつかったものがありました。

  西暦紀元68年におきたブリタニア地方(現在のイギリス)における反乱の原因に関する文章です。新潮文庫版4巻97ページ以下

「第二は、カネの問題である。一〇パーセントの属州税が高すぎるのではない。その税を払うにはしばしば借金に頼るしかなくなるが、その金利が高すぎたのである。本国イタリアでは最高一二パーセントと金利の上限が法律で気まっていたが、属州ではそれが野放しだった。そして、後進地帯のブリタニアではとくに、金融業者といえば、ローマ人だった。

 共和制末期にかのブルータスが属州で四八パーセントもの高金利で金を貸しているのに憤慨したキケロの手紙が残っているが、制覇途上のブリタニアでも、この種の高利貸しが横行したのにちがいない。制覇途上とて、金を貸すにもリスクが伴う。リスクが高いほど金利も高くなるのは、経済の論理である。これにブレーキをかけることこそが政治である「戦後処理」の重要事のひとつだが、いずれも前線で指揮したことがないクラウディウス帝もネロ帝も、この種のことの重要さに気づかなかったのであろう。ネロの補佐官のセネカが巨富を貯えたのも、ブリタニアに高利で投資した結果と言われていた。皇帝第一の側近がこれでは、経済の論理にブリーキをかけるなど夢物語である。

 ブレーキがないのをよいことにブリタニアで暴利をむさぼっていたのが、ローマ市民権をもつ金融業者たちであった。ブリタニア人の怒りが、金融業者にとどまらず、ローマ人全体に向けられたのも当然だ。ローマ人は、ブリタニア人を搾取の対象としか見ていない、と思うようになれば、ぞのローマ人と友好関係を樹立していることさえ、後悔の種に変わる。……」

  この暴動で7万人の人命が失われたと言われています。

  現在の日本で12パーセントをこえる金利の合理性ってあるのでしょうか。

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2005年10月28日 (金)

法学教室 2005年10月

法学教室 10月号

HOGAKU KYOSHITSU

平成17年10月1日発行

通巻301号

雑  誌:03505-10

ISSN:0389-2220

CONTENTS

【巻頭言】

   

 信ずる………高橋宏志

【KEY WORD】

 BSE………平 覚

【◆法科大学院を歩く】

 

(8)中央大学法科大学院

【◆時の問題】

 新会社法の制定への経緯………相澤 哲

【◆基礎講座】

〔ベーシック行政法〕(19)

 行政訴訟(2)―――取消訴訟の基本的性格と訴訟要件………宇賀克也

【◆論点講座】

〔Interactive 憲 法 ――B助教授の生活と意見〕(16)

 表立っていえない憲法解釈論………長谷部恭男

〔刑法総論の考え方・楽しみ方〕(15)

 故意論(3)………佐伯仁志

〔重要論点 刑法各論〈リレー連載〉〕(18)

 文書偽造罪()………山本輝之

【◆判例講座】

〔判例分析民法 探す・読む・使う〕(7)

 利息制限法と貸金業規制法43条

 (みなし弁済規定)をめぐって………中田邦博

〔判例分析 民事訴訟法〕(15)

 訴え取下げ後の再訴………山本克己

 ―――最三小判 昭和52年7月19日 民集31巻4号693頁

【◆展開講座】

〔刑事弁護の技術と倫理〕(6)

 公判弁護の技術と倫理(1)………佐藤博史

【◆時の判例】

 動産売買先取特権に基づく物上代位権の行使と債権譲渡との優劣

 

 ―――最高裁 平成17・2・22………中山知己

 占有権原を有する抵当不動産占有者に対する抵当権者の妨害排除請求

 ―――最判 平成17・3・10………田高寛貴

 隣家の被害者に朝から深夜までラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で

 鳴らし続けた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例

 ―――最決 平成17・3・29………島岡まな

【◆演 習】

 

 憲   法………安念潤司

 行 政 法 ……交告尚史

 

 民   法………小粥太郎

 商   法………弥永真生

 民事訴訟法………菱田雄郷

 刑   法………前田雅英

 刑事訴訟法………宇藤 崇

 

 国 際 法………兼原敦子

Information

最近のおもな判決

2005年秋季学会のお知らせ

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日下公人「男性的日本へ」 2005年

男性的日本へ

2005年10月31日発行

著 者:日下公人

発行者:江口克彦

発行所:PHPソフトウェア・グループ 

ISBN:4-569-64635-2 C0030

目 次

まえがき

1 「本質」を見抜くヒント

 1 賢い国民を信じなさい

 2 真のゼネラリストを登用しよう

 3 宇宙戦艦ヤマトに見る転換力

 4 英語は滅び、日本語が国際語になる

 5 この国の「協働力」の凄さと落とし穴

 6 按配力なき現実主義の危険

 7 さわること(触覚)のパワー

 8 「稲むらの火」に学べ、着眼力欠如の指導者

 9 麻雀を学校で必須科目にせよ

10 “ホリエモン”に学べ

11 十七条憲法、今こそ継承のすすめ

12 世界に広がる聖徳太子の十七条憲法

2 「打開策」を見抜くヒント

 1 断って後悔するより、引受けて後悔せよ

 2 決断力を改めてひもとく理由

 3 洞察力について二十一の雑感

 4 政策研究の不毛を乗り越えるには

 5 「踏み込み力」不足への処方箋

 6 「自分の決意」が理由でなくてはならない

 7 精神が先、知識や情報はその次

 8 少子化問題 ―――役人に制度設計をさせるなかれ

 9 「出産を妨げない高等教育」のあり方を考えよう

10 これから子育てが最高のレジャーになる

11 外国人労働者受け入れのすすめ

12 ドイツの失敗より、シンガポールの成功に学ぼう

3 「変化」を見抜くヒント

 1 復旧したのは製造業ではなく、先端産業

 2 「日本人の心」が売れている

 3 国民の選択する改革スピードとは

 4 経済成長は一%でも良い

 5 「質の経済」が始まった

 6 日本は資本主義より人本主義で行け

 7 グローバル・スタンダードの正体

 8 お金はどこまで万能か?

 9 「日本風のままで行くぞ」という新段階に入った

10 一〇〇〇億円つくる法

4 「世界」を見抜くヒント

 1 日露戦争と世界史と日本精神の勝利

 2 「パックス・アメリカーナ」説の大きな見落とし

 3 アメリカ一極支配の終わりの始まり?

 4 マスコミを疑う「事情」

 5 アメリカとの正しいつきあい方とは

 6 憲法は要らない日本、改定ばかりのアメリカ

 7 「日本つなぎとめ」への動きが始まった

 8 日本発のコンセプトを世界に提案しよう

 9 世界の一極を狙いつつある日本

10 「ケイパビリティ」から「パワー」 の外交へ

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税務事例研究85号 平成17年7月20日

税務事例研究 Vol.86

平成17年7月20日発行

発行所:財団法人 日本税務研究センター

雑 誌:87231 

ISSN:0916-0884

目 次

[法人税]

<事 例> 新会社法における組織再編の柔軟化と税法の対応………野田秀三

 一 問題の所在

 二 組織再編の新たな形態

  1 新会社法における組織再編の新たな形態

   (1)子会社が他の株式会社の組織再編行為により親会社株式の割当てを受ける場合

   (2)子会社が親会社株式の割当てをするために取得する場合

   

  2 消滅会社等の株主等への金銭等の支払い

   (1)要綱の基本的な考え

   (2)法人税法における取扱い

 三 差損の処理

  1 差損が生ずる場合

  2 差損の処理

 

 四 事例の検討

  1 事例1の検討

   (1)設問1の検討

   (2)設問2の検討

   (3)設問3の検討

   (4)設問4の検討

   (5)設問5の検討

  2 事例2の検討

  

 五 今後の課題

[所得税]

<事 例> 心身の機能不全補填支出と所得控除………岩崎政明

 一 問題の所在

 二 心身障害支出と基礎控除・医療費控除・障害者控除の区別

 三 近視・乱視矯正用眼鏡等の購入費用と医療費控除の範囲 ―――事例1について―――

 四 「医療」「医薬品」の定義と医療費控除の範囲 ―――事例2について―――

 五 まとめ

[資産税] 

<事 例> 家屋の附帯設備に係る固定資産税………渋谷雅弘

 一 はじめに

 二 民法上の建物の意義

 三 固定資産税における家屋の意義

 四 民法上の建物の構成物

  1 附 合

  (1)添 付

  (2)不動産の附合

  (3)裁判例

 五 固定資産税における家屋の構成物

  1 固定資産税における家屋の評価

  2 固定資産評価基準における家屋の構成物

 六 旧法下における附帯設備の取り扱い

  1 固定資産税

  2 不動産取得税

 七 平成16年度地方税改正

 

 八 新法の下での法的問題

  1 附帯設備の意義

  2 「事業の用に供する」

  3 「取り付けた者」

  4 その他の問題

 九 事例の結論

  1 新法に基づく条例が適用されない場合

    事例(1)

    事例(2)

    事例(3)

  2 新法に基づく条例が適用される場合

    事例(1)

    事例(2)

    事例(3)

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季刊 刑事弁護 44号 2005年10月

季刊 刑事弁護

2005年10月10日発行

第44号(冬季号)No.44

編集・発行人:成澤壽信

発行所:(株)現代人文社

ISBN:4-87798-243-4 C3032

CONTENTS

[事件の風土記]

 鹿児島選挙違反事件 その2………毛利甚八

 共謀罪立法化の動きと問題点………浅田和茂

【連続特集】裁判員制度と刑事弁護[4]

 量刑はどうなるのか?

 序論・裁判員裁判と量刑判断………指宿 信

【座談会】裁判員制度で量刑実務はどのようになるのか………國田武二郎・城下裕二・高野嘉雄・山口毅彦・指宿 信

 

 裁判員裁判と手続二分論………上田國廣

 裁判員裁判における量刑の評議はどうあるべきか………安原 浩

 裁判員裁判の量刑判断のあり方………森下 弘

[海外における量刑判断への市民参与]

 合衆国における陪審の量刑機能の一断面………岩田 太

 ドイツの参審制と量刑手続―手続二分論を中心に………本庄 武

 デンマークの参審制………松澤 伸

[コラム]

 対話イベントとしての評議

 ―――市民と裁判官との対話が成功するためには?………西條美紀

 裁判員の立場から

 ―――模擬裁判員裁判に参加して………柴田雅史

 弁護人の立場から

 ―――模擬裁判員裁判に参加して………伊東克宏

【特別企画】記録の取扱い

 特別企画

 ―――記録の取扱い――― の趣旨………編集部

 理論編・改正刑訴法の批判的解釈………福島 至

 立法経過・審議会、検討会、国会等の動き………森下 弘

 実務編・「禁止等規定」に対する留意点………森下 弘

 裁判記録は誰のもの?

 ―――取材規制を招く法改正………江川紹子

 大崎事件・特別抗告審で何を訴えるか?

 ―――証拠の明白性の判断枠組み………笹森 学

 違法薬物の少量自己使用についての可罰性………金 尚均

 

 改正刑事訴訟規則と弁護活動………秋田真志

 公判弁護術の伝道師

 ―――裁判員の心を動かす………高橋広篤

 

[刑事弁護レポート]

 犯人性を争い無罪獲得………浜田 愃

 「一審見て弁解構築」………藤田正隆

[付添人レポート]

 麻薬施用の実行行為性・麻薬性認識を争う………角田雄彦

 違法な少年警察活動に徹底抗議………児玉勇二

[連 載]