アメリカ倒産担保法
―――「初期融資者の優越」の法理
2005年6月13日発行
著 者:森田 修
発行者:松澤三男
発行所:株式会社 商事法務
ISBN:4-7857-1229-5 C3032
細目次
序 「初期融資者の優越」とはなにか
はじめに
第1節 本書の視角
1.「初期融資者の優越」の定義/
2.「初期融資者の優越」の原理にたつ法制度
第2節 研究史
1.先行研究/
2.「浮動担保」と「初期融資者の優越」との相違
第3節 行論の計画
第1章 「初期融資者の優越」の成立
―――アメリカ法史におけるUCC起草の意義
はじめに
第1節 爾後取得財産条項
第1款 設備取得担保
1. Mitchellケースとストーリー/
2. Pennockケースと連邦判例法の安定/
3.「鉄道抵当」と動産譲渡抵当の位置づけ
第2款 在庫担保
1.在庫担保における爾後取得財産への効力否定論/
2.判例法の混迷/
3.在庫担保融資の仕組みの多様化/
第3款 受取勘定債権担保
1.債権譲渡担保実務の展開/
2.債権譲渡担保を支える法技術的前提の整備/
3.債権譲渡担保における「ドミニオンの法理」の盛衰/
4.債権譲渡担保における「初期融資者の優越」の確立
第2節 将来貸付け
1.将来貸付条項の原則的有効性/
2.一網打尽条項の規制/
3.動産担保における将来貸付条項/
4.中間債権者との優越の判定基準/
5.UCCの態度
第3節 プロシーズ
第1款 プロシーズにおける「初期融資者の優越」
第2款 §9-306の前史
1.プロシーズへの効力波及の淵原
2.Pre-Code期の判例法
第3款 §0-306
1.起草過程の議論/
2.§9-306に関する判定の展開
第4節 ファイリング・システム
第1款 ファイリング・システムの起源
1.Twyneケースの長い影/
2.Pre-Code期のファイリング
第2款 UCCファイリングの成立
1.州レヴェルでの一元的ファイリングシステム/
2.trans-action filingからnotice filingへ/
3.担保物記載の方式緩和
第3款 UCCファイリングと「初期融資者の優越」
1.起草者の構想と危惧/
2.「担保オプション」による「初期融資者の優越」
小 括
第2章 アメリカ法における動産保権の公示と占有
―――UCCファイリングの脱神話化のために
はじめに
第1節 アメリカ動産取引法のいくつかの前提
第1款 当事者間の動産物権変動
1.権原移転/
2.特別財産権の移転/
3.特 定/
4.動産取戻権と動産回復権
第2款 第三者に対する関係での動産物権変動
1.Seller in Possession/
2.SIPからの第二譲受人と第一譲受人との関係
第2節 担保取引における公示とファイリング
第1款 担保権の公示の諸態様
第2款 ファイリング・システムとは何か
1.ファイリングの通知(notice)機能/
2.与信公示書とは何か/
3.担保合意とは何か/
4.担保権設定(attach-ment),公示(perfection)および優先順位(prioity)の関係/
5.ファイリングの法的意味
第3款 ファイリングの実際
1.ファイリングの記載事項と効力/
2.ファイリングの訂正・終了・継続/
第4款 ファイリング・システムを支える制度的前提
1.ファイリング・オフィス/
2.ファイリング・システムの技術的仕組み/
3.ファイリング・システムのコスト
第5款 ファイリングによる公示の個別問題
1.プロシーズとファイリング/
2.爾後取得条項とファイリング/
3.将来貸付け(future advance)とファイリング/
4.「担保交差」(cross-collateralization)とファイリング
第3節 占有による公示
第1款 UCC第9編における占有による公示
1.担保目的物による分岐/
2.公示の方法としての優越
第2款 UCCにおける占有担保の位置づけ
1.「初期融資者の優越」の原理との関係/
2.第三者の占有による担保/
3.担保物譲渡と担保権の公示
第3款 ファイリング・システムと動産執行
1.判決リーエンの発生/
2.判決リーエンと担保権との優劣/
3.判決リーエンと検索者の負担
第4款 ファイリング・システム自体の占有依存
1.ファイル地の決定/
2.ファイル時の決定
小 括
1.UCCファイリング・システムの脱神話化/
2.ファイリング・システムと動産登記制度の相違/
3.秩序の構想としての「初期融資者の優越」/
4.「初期融資者の優越」に対する調整原理
第3章 「初期融資者の優越」への対抗原理
―――アメリカ法における劣後化合意
はじめに
1.本章の対象と視点/
2.先行研究
第1節 劣後化合意とは何か
1.「債権の劣後化」と「担保権の劣後化」/
2.契約当事者/
3.確定的劣後化合意と未確定劣後化合意/
4.劣後化合意の実際/
5.劣後化合意の証書例
第2節 劣後化合意の法律構成
1.UCCにおける劣後化合意の位置づけ/
2.倒産局面での劣後化合意/
3.「契約による担保的機能の創出」
第3節 劣後化合意とレンダー・ライアビリティー
1.劣後化合意による責任法秩序の形成/
2.「エクイティー上の劣後化」とレンダー・ライアビリティー
小 括
1.比較法的考察のまとめ/
2.日本における劣後化合意/
3.私的整理ファイナンスにおける劣後化合意
第4章 「初期融資者の優越」の経済分析
―――Schwartzにおける<機能としての担保の契約による創出>
はじめに
第1節 担保権のパズルとSchwartz
1. 担保権のパズル/
2.「初期融資者の優越」の経済分析
第2節 Schwartzの担保法理論
1.Schwartzの方法的前提/
2.無担保の初期融資者の公示なき優越/
3.最適優先順位契約と基本優先ルール/
4.担保権のパズル
第3節 1993年VirginiaシンポジウムとSchwartzの担保不要論
1.UCC第9編の基本方向をめぐる通説的立場/
2.SchwartzのHarris/Mooney批判
第4節 carve-out提案とSchwartzの劣後化合意論
第1款 Warren提案とSchwartzの劣後化合意論
1.Warrenのcarve-out提案/
2.Warrenに対するBos-seti/Kurthの批判
第2款 Bebchuk/Friedの部分優先論
1.担保権の経済分析/
2.全部優先ルールのコスト/
3.部分優先ルール
第3款 Schwartzの融資
1.dilutionと「初期融資者の優越」/
2.融資契約条項による担保的機能の代替/
3.担保権の合理性の根拠付け/
4.「担保権のパズル」に対するSchwartzのスタンス/
5.融資契約条項の法的拘束力の強化
小 括
補説 全部優先ルールの下での担保設定の意思決定の例解
結びにかえて
―――動産担保公示制度立法と「初期融資者の優越」
はじめに
第1節 動産担保取引および公示の基本設計
1.「新動産公示法」における動産担保取引の実体上の法律構成/
2.公示の対象に関する日米両法の前提の相違/
3.登記の開示の問題
第2節 占有改定と即時取得
1.公示の方法としての占有改定の取扱い/
2.動産即時取得の位置づけ
第3節 「初期融資者の優越」と日本法
1.担保取引実務の違い/
2.倒産・担保法の基本設計としての「初期融資者の優越」
参考文献
条文索引
判例索引
事項索引