離婚後300日以内にこどもを産んだ場合の特例
離婚後300日以内に子供を産んだ場合の特例
弁護士 岡本 哲
質問
わたしの部下で妻との離婚を考えている男性従業員がいます。今年(平成19年)の5月21日から離婚後300日内にもと妻が出産した場合の戸籍の処理がかわる、ということですが、どのように変わるのか教えてください。
回答
平成19年5月20日までの取扱
一般的な出産がなされた場合、母子関係については分娩がなされていますから、たしかですが、父子関係についてはDNA鑑定の発達以前にはよくわからない場合がありましたし、DNA鑑定でも限界がある場合があります(たとえば、妻の不貞相手が一卵性双生児の兄弟というような例)。
そこで、わが民法では嫡出推定の規定をもうけ、結婚関係の男女から生まれた子については母の夫の子であるとしており、婚姻の成立の日から200日を経過したあと、または婚姻の解消もしくは取消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定しています(民法772条2項)。子の誕生日を基準にみてみますと、子が生まれた日から逆に数えて300日より後の期間に有効な婚姻が1日でもあれば、その子の父親は母の夫であるとされてしまうわけです。
しかし、実際は離婚した妻がすぐに再婚する場合に、離婚後すぐに別の男性の子を懐胎してしまうことがあります。この場合、子の父親は前の婚姻(前婚)の夫ということになってしまい、生物学上の父親とずれてしまいます。
さらにこの場合に嫡出否認の訴えは前婚の夫側からしかできず、その期間も夫が子の出生を知ったときから1年に限られます(民法777条)。
子側からできないため、問題が生じてしまいます。
しかし、平成19年5月20日までの取扱では、前夫の嫡出子として記載されざるをえませんでした。
平成19年5月21日以降の取扱い
平成19年5月21日以降は、医師の証明書を添付して出生届をだした場合には、戸籍の特記事項欄に「嫡出推定が及ばない」と特記されます。この場合は親子関係を争う場合は親子関係不存在の訴えとなり、父側からでも子側からでも利害関係人の全てからも提起でき、期間の制限もないとされます。
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