判例タイムズ1242号 平成19年8月15日
判例タイムズ1242
2007年8月15日発行
第58巻 第20号 通巻1242号
発行人:浦野哲哉
編集人:遠藤智良
発行所:株式会社 判例タイムズ社
雑 誌:27503-8/15
ISSN:0438-5896
判例紹介細目次
【特 報】
=商 法=
[1]1 「衝突,接触…その他偶然な事故」及び「被保険自動車の盗難」を保険事故として規定している
一般自動車総合保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払
を請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任
2 被保険自動車の盗難を理由に車両保険金を請求する者が主張立証責任を負う盗難の外形的事実
について単に「外形的・客観的にみて第三者による持ち去りとみて矛盾のない状況」を立証す
るだけで盗難の事実が推定されるとした原審の判断には違法があるとされた事例
(最高裁第一小法廷 平19.4.23判決)
[2]「衝突,接触…その他偶然な事故」及び「被保険自動車の盗難」を保険事故として規定している家庭
用総合自動車保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払を請求
する場合における事故の偶発性についての主張立証責任
(最高裁第三小法廷 平19.4.17判決)
【最高裁】
=民 法=
[1]弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が不法行為を構成する場合
(最高裁第三小法廷 平19.4.24判決)
=諸 法=
[2]郵便番号自動読取区分機類に関する入札談合の事案につき公正取引委員会が私的独占の禁止及び
公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)54条2項所定の
「特に必要があると認めるとき」の要件に該当するとしてした排除確保措置を命ずる審決が同法
57条1項及び同法54条2項の規定に違反しないとされた事例
(最高裁第一小法廷 平19.4.19判決)
[3]離婚の訴えにおける別居後離婚までの間の子の監護費用の支払を求める旨の申立てと裁判所の審理判断の要否
(最高裁第二小法廷 平19.3.30判決)
[4]証券取引法79条の20第3項2号に規定する「証券業に係る取引」と証券会社が同取引を仮装して行った取引
(最高裁第一小法廷 平18.7.13判決)
=民事訴訟法=
[5]1 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間にその訴訟に関して
事実上の利害関係の対立がある場合における上記書類の補充送達の効力
2 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等がその訴訟に関して事実上の利害関係の
対立がある受送達者に対して上記書類を交付しなかったため受送達者が訴訟が提起されている
ことを知らないまま判決がされた場合と民訴法338条1項3号の再審事由
(最高裁第三小法廷 平19.3.20決定)
【行政裁判例】
=行政法一般=
[1]紀伊長島町水道水源保護条例訴訟差戻後控訴審判決
紀伊長島町水道水源保護条例に基づく規制対象事業場認定処分が取り消された事例
(名古屋高裁 平18.2.24判決)
=国家補償法=
[2]警察官が,学校用地内で不退去罪及び威力業務妨害罪を現に行っている者の犯罪行為を鎮圧,
終息させるため,被疑者の体を持ち上げて警察車両に乗車させた上約900メートル離れた
警察署の取調室内まで連行した行為が,警職法2条1項及び5条に照らして,違法性がない
とされた事例
(東京高裁 平18.10.11判決)
[3]1 A中学からB中学への転任処分の取消しを求める訴えは,B中学からC中学への転任があり,
当事者がこれを争っていない以上,訴えの利益はないか(肯定)
2 中学教員に対する転任処分に裁量権の逸脱,濫用があるか(消極)
(東京地裁 平17.10.31判決)
=地方自治法=
[4]地方公共団体の一部事務組合がプラントメーカーとの間で締結したごみ処理施設増設工事請負契約において,
同メーカーを含む入札参加業者らが談合した結果,同プラントメーカーが最低入札金額を提示した上で随意
契約により締結されたものであると認め,談合がなければ形成されたであろう適正価格と契約代金額との差
額相当額の損害賠償について住民の代位請求を認めるとともに,同一部事務組合管理者が損害賠償請求権の
行使を怠る事実が違法であることを確認した事例
(新潟地裁 平18.9.28判決)
=情報公開=
[5]外務省大臣官房及び在外公館における報償費の費目による支出に係る証拠書類の開示請求に対して,外務大臣が
した行政文書不開示処分につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条3号及び6号の不開示情報が
記録されているものとは認められないとして,その一部が取り消された事例
(東京地裁 平18.2.28判決)
【労働裁判例】
=個別的労働関係=
[1]在日米軍の機関において労務に服する日本人従業員に対する休業処分及び解雇が無効とされた事例
(東京高裁 平18.12.21判決)
【民・商事裁判例】
=民 法=
[1]不動産会社と建設会社との間で,不動産会社が所有し開発した建物と隣接する土地で建物建築工事を行う
建設会社が,近隣建物調査を実施するまでは建築工事を開始しない旨の合意は成立していないとされた事例
(東京地裁 平17.7.26判決)
[2]1 指名債権譲渡通知について,当該通知が真正なものであると信じたことについて債務者に過失がないと
評価される程度の外観を具備していない通知は債務者その他の第三者に対し対抗できない
2 指名債権譲渡通知において,会社代表者であることの記載はあるものの,代表者印(会社印)ではなく
個人名義の印章が押捺されているに過ぎず,当該債権について債権譲渡禁止特約が付されていた場合に
は,当該通知はこれが真正なものであると信じたことについて債務者に過失がないと評価される程度の
外観を具備しておらず債務者その他の第三者に対し対抗できない旨判示した事例
(島原簡裁 平19.1.31判決)
[3]雑誌の記事の中で,いくつかの属性とともに匿名で記載された人物が原告を示すものであるとした上で,
この内容も原告の名誉を毀損するとされた事例
(東京地裁 平18.11.7判決)
[4]原告が北朝鮮による拉致証言の存在を被害者の両親に対しても11年間にわたり隠ぺいしたこと,同事実の
発覚後原告幹部が被害者の両親に謝罪したことを報ずる被告発行の雑誌記事が名誉毀損にあたるとして,被
告に440万円の支払が命じられたが,謝罪広告掲載請求は棄却された事例
(東京地裁 平18.6.20判決)
[5]1 気管切開の処置中に患者が失血死した事故について担当医師がメス操作を誤って右総頸動脈を損傷した
ことが原因とされ,病院の損害賠償責任が認められた事例
2 患者について生じた損害を算定するに当たって,食道癌の進行程度から,死亡当時,就労可能性はなく,
余命1年であったと認定された事例
(東京地裁 平18.2.23判決)
[6]急性喉頭蓋炎に罹患した幼児が低酸素性脳症を原因とする心不全により死亡した場合,担当医師に気道確保
遅延の過失があったとして,病院側の損害賠償責任が認められた事例
(福島地裁いわき支部 平17.3.9判決)
[7]脳動脈瘤の治療のためクリッピング手術を受けた患者が,術後脳内出血による腎不全に基づく急性心肺機能
不全で死亡した場合,患者に対する説明義務を尽くさなかった過失や手術後の緊急事態に対応する措置を怠
った過失があったとして,病院側の債務不履行責任が認められた事例
(水戸地裁 平17.2.23判決)
[8]危急時遺言が普通の方式による遺言が可能となった時から6か月間経過したとして無効とされた事例
(福岡高裁 平19.1.26判決)
=商 法=
[9]日本医師会医師賠償責任保険に基づく保険金の請求等が棄却された事例
(東京地裁 平18.2.8判決)
=知的財産=
[10]Xが主張する各営業秘密は,営業秘密の要件を欠くか,あるいはY1のY2に対する不正開示行為が
認められないとして,XのY1に対する当該営業秘密の開示の差止め及びY2による当該営業秘密を
不正に使用した電話サービスの販売差止め請求がいずれも棄却された事例
(東京地裁 平18.3.30判決)
【刑事裁判例】
=刑 法=
[1]精神安定剤を混入させたアルコール飲料を女性に飲用させ,心神を喪失させて姦淫したとして,混入後の
順次共謀による準強姦の共同正犯を認めた事例
(札幌地裁 平17.10.31判決)
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